「NEC世界子ども自然クラブ」 環境教育プログラムに参加して

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2017年5月3日

田原 明(環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」ボランティア)Photo by Arnold C. Baladad
「NEC世界子ども自然クラブ」(主催:山梨県キープ協会、協賛:NEC)の環境教育プログラムにボランティアとして参加した。
このプログラムには、日本・台湾・マレーシア・フィリピン、インドネシア、中国の6カ国の子供たちが参加し、それぞれ3日間の環境教育を実施、連日活動後に各国をインターネット・テレビ電話でつなぎ、フィードバックを共有しあうというもの。フィリピンでのプログラムは在バギオ市の環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」のコーディネイトで、TALAシェア&ゲストハウスを拠点に開催され、ベンゲット州キブンガン町とバギオ市の小学校から12人の子供たちが参加した。
1日目は、自己紹介からスタート。子供たちは両親の出身の民族も紹介したが、そのルーツは多様で、バギオ市やルソン島北部山岳地方が、いかに多様な民族の人々が暮らしている地であるかを実感した。
環境教育ワークショップは、市内から30分ほどのバギオ市内を一望できる小高い丘が会場だった。五感をフルに使い自然を感じる様々なゲームやアクティビティが行われたが、私が印象に残ったのは、カラーペンを子供たちに渡し、そのペンと同じ色を自然の中から探し出すゲーム。あえて、「自然の中にある色から探すこと」という条件をつけて、例えば「緑色」といっても、多様な緑色が自然の中にあることを子供たちは発見した。同時にいかに今の私たちの暮らしの中に人工の物・色が溢れているかを学ぶ機会となった。
2日目は、ジプニーに乗り込んで約2時間のアンボンドラン村(ベンゲット州トゥブライ町)へ向かった。すばらしい岩場のある渓谷の川のほとりで、川の生き物の観察のアクティビティ。子供たちは虫取り網でカニやおたまじゃくし、小さな魚などを歓声を上げながら捕らえ、ルーペを使って細かく観察し、生き物たちの小さな命を見出した。午後にはアーティストの指導で、新しい手法を使って自由に自然を描くというワークショップを行った。
参加した子どもたち同士は初めお互いに距離をとっていたが、自然の中でともに夢中になって遊び、走り周り、考え、語り合ううちに、その距離がみるみる近づいていくのが手にとるようにわかった。インターネット・テレビ電話を使った他国の子供たちとの活動報告では、初めて体験した通信技術に最初は戸惑っていたが、3日目には元気いっぱいに日本の子供たちと通信。川で見つけた生き物についての報告や描いた絵の紹介に加え、民族衣装を着てダンスや歌を披露してくれた。
このプログラムは、環境教育を実施することと国際交流を図ることの二面を持ったプログラムだったが、参加したフィリピンの子供たちは、他地域の子供たちと交流するなかで、まずは自国の文化や多様性を生徒が意識することもできたのではないかと思う。
私は日本語教師のボランティアとしてフィリピンに住んで8カ月になるが、暮らしている都市部では見えにくいさまざまな民族やその文化、そして知られざるすばらしい山岳地方の自然を感じられた時間だった。

↑目隠しして視覚以外の感覚で自然を感じるアクティビティ

自然の中で夢中で絵筆をとる子供たち

NECフィリピンからもスタッフが参加。宿泊先のTALAシェア&ゲストハウスTALAで

NECフィリピンからもスタッフが参加。宿泊先のTALAシェア&ゲストハウスTALAで

(左)目隠しして視覚以外の感覚で自然を感じるアクティビティ (右)民族衣装で日本の子供たちとインターネット・テレビ電話で体験をシェア

虫採り網で川の生き物をゲット!

Information:

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク
https://cordigreen.jimdo.com/
TALA シェア&ゲストハウス
https://www.tala-guesthouse.org/

 

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