ココナッツシュガー

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2018年3月20日

a前回「酢」の回で「スーカン・トゥバ」ココヤシの花の蜜から使った酢をご紹介しましたが、この花の蜜を煮詰めたものがココナッツシュガーです。
まずココヤシの花が開く前にできる「包」の先を切り取り、花の蜜を集めます。この花の蜜の酸性度が高すぎるとココナッツシュガーの原料としては適さないため、酸性度の高い物は「トゥバ」と呼ばれるココナツ酒を造るのに使い、酸性度の低い物を煮詰めたものがココナツ・シュガーになります。

Coconut palm sugar in a bowl

Coconut palm sugar in a bowl

ココナッツの花

ココナッツの花

「包」の先を切り取る

「包」の先を切り取る

切り取り口から出てくる蜜を採取(左右とも)

切り取り口から出てくる蜜を採取(左右とも)

Philippine Coconut Authority HPより

Philippine Coconut Authority HPより

ココナッツシュガーのカロリーと糖質は砂糖キビから作った砂糖と同じなのですが、GI値が低く、血糖値が上がりにくいことから注目されています。ブドウ糖のGI値100に対して、砂糖のGI値は99、フィリピン・ココナッツ庁の発表によるとココナッツシュガーのGI値は35。血糖値が上がりにくい理由の一つにココナッツシュガーに含まれるイヌリンの影響があると言われます。多糖類の一種イヌリンは、糖の吸収を抑制するため、血糖値が上がりにくく、すい臓に負担がかかりにくいのです。またイヌリンは腸内で発酵するとフラクトオリゴ糖になり、腸内で善玉菌の餌となって腸内環境を整える効果もあるそうです。
その他にもココナッツシュガーには17種類のアミノ酸、ミネラルやビタミンも含まれています。カリウムは砂糖の400倍、マグネシウムは砂糖の29倍含まれており、ビタミンB8と言われるイノシトールが含まれています。イノシトールは神経機能を正常に保ち、頭皮、毛髪の健康を保つ効果があります。「抗脂肪肝ビタミン」とも呼ばれ、肝臓に余計な脂肪が蓄積しないように保つ働きもあります。イノシトールが多く含まれる食品であるミカンには100gあたり208㎎のイノシトールが含まれますが、ココナッツシュガーには100gあたり230㎎のイノシトールが含有されています。
このように見てくると、大変な健康効果がありそうですが、ココナッツシュガーも砂糖と同じように糖質を含む甘味料であることに変わりはありません。ミカンを100g摂取することは可能でも、ココナッツシュガーを100gも摂取することは非現実的なだけでなくカロリーも心配です。ここからミネラルやビタミンを摂ろうとするのではなく、あくまで砂糖の代替品として利用するのが良いでしょう。
ちなみにお味ですが、砂糖よりは若干やさしい甘味で、黒砂糖ほどは癖がなく、うまみ成分のグルタミン酸が含まれるため、コクのある味が特徴です。コーヒーや紅茶などに入れる他、フィリピンの餅菓子(カカニン、スーマン等)と一緒に食べると、普通の砂糖よりもうまみが増します。アドボや照り焼き、煮物など、料理の隠し味として使うのもお勧めです。
マニラではスーパーの砂糖の売り場や、ベーキング素材の売り場に置かれているので手軽に入手できます。フィリピン発の体に優しいココナッツシュガー。賢くおいしく楽しみたいですね。(悦)

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