ココナッツ

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2019年4月4日

根から葉まで捨てるところがなく「命の木」とも言われるココナッツ。今回はそんなココナッツ(ココヤシ)の実、ココナッツジュースの魅力について取り上げます。

ココナッツミルクとココナッツ・ジュース

フィリピンでココヤシのことはニヨッグ(niyog)と呼ばれますが、ジュースとして飲むのは若い緑色の実ブコ (buko) に入っている液体です。ココナッツの実が成熟するには12か月かかりますが、ブコは約6か月位の実です。飲んだ後の実を割ってもらうとわかるように、若い実はジュースが多く、周りに薄くゼリー状の白い果肉がついています。熟するとともに、この白い果肉が厚みを増します。厚みが4-5ミリ程度になったものは、実を削って練乳やオールパーパス・クリームと合わせたブコサラダにしたり、パンダンで香りを付けた緑色のゼリーやサゴ(タピオカ)を混ぜたブコ・パンダンというデザートにも使います。市場や物売りからブコを買う時は、ジュース用か、ブコサラダ用かを伝えると、最適な熟し加減の物を選んでもらえます。
ココナッツミルク(gata)は、完熟して厚く硬くなった白い果肉を削ったものに湯をさし、絞ったもので調理用に使います。市場には必ずニヨッグ売り場があり、実を割ってグラインダーで果肉を削ってくれます。ココナッツ・ジュースには脂肪分が殆ど含まれないのに対し、ココナッツ・ミルクには脂肪分が多く含まれます。ココナッツミルクで煮込んだギナタアンやココナッツミルク入りのカレーなどが濃厚な味わいなのは、この脂肪分のためです。完熟したココナツの実を乾燥させたものがコプラで、これを絞ったココナッツオイルは、食用や石鹸の原材料などに使われます。
ナタ・デ・ココはココナッツジュースを発酵させて作ったゼリーですし、ココシュガーはココナッツの花の蜜から作った甘味料です。デザート等に使われるマカプノはココヤシが突然変異したと言われる特殊なヤシの木になる実から取ったものです。

天然のスポーツ飲料

ココナッツ・ジュースの成分は人間の体に含まれる成分と近く、点滴液の代わりになると言われます。ただしナトリウムも糖質も、スポーツ飲料より少なく、コップ1杯あたりのカロリーは45カロリーと少なめです。カリウムはコップ1杯でバナナ1本に匹敵する量(1日の摂取量の17%)が摂取できます。カリウムとカルシウムを筋肉中に取り入れるのを助けてくれるマグネシウムも1日の摂取量の17%が含まれており、こむら返りの予防に良さそうです。ビタミンCは一日の摂取量の10%ですから、健康な食事に加えれば、抵抗力アップや美肌効果も期待できそうです。ココナッツジュースを食事に加えた際の抗酸化効果や糖尿病の予防、コレステロールの低下効果などに関する研究も進められており、概ね良好な結果が出ているようですから、今後の研究で、よりはっきりした健康効果が明らかになるかもしれませんね。
ココナッツジュースには利尿作用があるので尿路感染症の予防にも効果があると言われます。また熱中症を防ぐには水分補給が何より大切。新鮮なココナッツジュースを飲んで、フィリピンの暑い夏を乗りきりたいですね。(悦)

 

 

 

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