タマリンド

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2018年12月23日

タマリンドはマメ科ジャケツイバラ亜科のタマリンド属の常緑高木で和名はチョウセンモダマといいます。原産地はアフリカで、インドや東南アジアやメキシコで広く栽培され、料理などに使われます。タマリンドという名称はアラビア語で「インドのナツメヤシ(デーツ)」を意味する「タマル・ヒンディー」から来たと言われます。これはアラビア半島にタマリンドが入って来たのがインドからだったためのようです。フィリピンではサンパロックと呼ばれています。
熟した実は甘酸っぱく、茶色い殻をむけば生で食べられます。フィリピンでは生食よりも、若い実を調理用に使うのが一般的ですが、完熟の実をさやから取り出し、砂糖で煮込んだキャンデーもスーパーなどで購入できます。フィリピン料理の定番、シニガンはタマリンドの酸味で味をつけています。市場等で購入したタマリンドを殻ごと水から煮出し、ざるで濾して、種の周りの繊維をほぐすようにスプーンの背で潰して濾してから汁だけを使います。手順は各家庭で違いますが、トマトや玉ねぎ、肉、サトイモ、大根、オクラ、ササゲマメ、カンコン(空芯菜)を入れるのは大体共通しています。米のとぎ汁を使う家庭もあり、味付けはパティス(魚醤)や塩を使います。また、鶏肉をタマリンドの花と葉っぱで煮たスープは「シナンパルーカン」(「サンパロックで煮たもの」の意)と呼ばれ、さわやかな風味です。
タマリンドはあまり日本では知られていませんが、実はイギリス原産のリーペリンのウスターソースにはタマリンドが使われており、日本のウスターソースにも同様にタマリンドが使われているものもあります。また主原料としてだけではなく、とろみを出すためにタマリンドシードガムが使われているものもあります。タマリンドシードガムはタマリンドの種から抽出したもので、食品添加物である増粘安定剤として、様々な食品にねばりやとろみをつけるために使われています。
タマリンドは体に必要な栄養素も多く含有しています。ミネラルではマグネシウム、カルシウム、リン、鉄分、亜鉛などが中でも多く含まれます。チアミン(B1)、リボフラビン(B2)、ナイアシン(B3)などのビタミンが摂取できるのも嬉しいですね。
タマリンドの実には便秘を解消する効果が、葉には消炎作用があると言われ、また樹皮にも様々な薬効成分が含まれるため、世界各地で民間療法に用いられています。これからの研究でさらに様々な効果が検証されそうな、スーパーフルーツとしての可能性を秘めた植物ですね。(悦)

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