ハロハロ・ノート「マリキナの靴」

この記事をシェア

2020年2月10日


マリキナの靴  Sapatos na gawa sa Marikina

 マニラ首都圏の東の端に位置するマリキナはShoe Capital of the Philippines(フィリピンの靴の都)と呼ばれる靴の産地です。マリキナの靴産業の父と呼ばれるDon Laureano Guevarra (ドン・ラウレアノ・ゲバラ)氏、通称Kapitan Moy(カピタン・モイ)が、1887年にマニラから買ってきた外国製の靴を分解し、自分たちで靴の作り方を研究したのが靴産業の始まりでした。靴の製造が新たな産業となると考えたカピタン・モイは、その助手たちとともにマリキナの若者たちに靴の作り方を教え、主にマニラを市場とする靴産業を育てたのです。

 

 その後もマリキナは、東南アジア1、フィリピン1の靴の産地として成長しました。1965年~1986年まで大統領だったフェルディナンド・マルコスのイメルダ夫人は靴が好きで、3000足もの靴を持っていたことで知られていますが、海外に行くときは必ずマリキナ製の靴を履いていき、海外へのフィリピン製の靴の宣伝を怠らなかったと言われています。マルコス政権失脚後しばらくは、大統領府マラカニアン宮殿にイメルダ夫人の靴が展示されていましたが、一般公開されている大統領博物館での展示物としてはふさわしくないとして、マリキナに設立された靴博物館に約800足が移転され、今でもその展示を見ることができます。

 

マリキナ市は市をあげて靴産業を支援しており、その一環として2002年には長さ5.29m、幅2.37mもある世界で一番大きい靴がマリキナで作られ、ギネスブックに認定されました。
人件費の高騰や、中国製の安い靴の流入、靴職人の高齢化などに伴い、マリキナの靴産業は斜陽となっていましたが、手作りや、倫理的な材料の調達などを重んじる若い世代が新たな試みをはじめています。(悦)

 

Marikina City Footwear Museum(マリキナ靴博物館)
開館時間は8時から5時。J.P Rizal Street, San Roque, Marikina City

Stride Collective 
18の職人や靴起業家の靴を販売する2019年7月にオープンした共同販売店。倫理的に材料を調達し、靴職人のエンパワーメントなどサステナブルな靴産業をモットーとしている。フィリピンの伝統的な木彫りのかかとを付けた靴や、少数民族の織物、手描きのアッパーなどを活用したユニークなデザインの靴が見つかる。ウェブサイトなどにあるデザインの靴で、自分のサイズが見つからない場合等はオーダーして作ってもらうことも可能。
#4 J.P. Laurel cor, Chestnut Sts.
https://stridecollectiveph.com/


Facebook: StrideCollectivePH/

 

Instagram : StrideCollectivePH/

 

Posh Pocket Shoes
履きやすく、携帯しやすい靴が国内で見つからなかったことをきっかけに、2010年にオーナー自身の求める靴を販売しはじめた。オンライン販売で人気を博した後、マカティのサルセド・ビレッジに実店舗を設立。マリキナの靴職人との提携により一つ一つ手作りされる靴は、ミニマリストなデザインとその履きやすさで定評がある。
LG9 Alfaro Place, San Agustin St., Salcedo Village, Makati City
https://poshpocketshoes.com.ph/

 

Black Wing Shoes

マリキナの靴作りの伝統を引き継ぎ、さらに高めようとするカスタムメードの紳士靴ブランド、足の計測から6~8週間程度で完成。店頭販売は行っていないため、Facebookメッセンジャーまたは電話で事前連絡要。
blackwingshoesph/ Cell Ph : 0917-580-3634

 

Godfather 1986

2016年創業されたマリキナ製の手作りの革靴ブランド。パラニャーケにショールームがオープンした。姉妹ブランドHers by Godfatherで女性用のオックスフォードシューズも扱っている。
ショールーム: Unit B, 2/Flr., 386 El Grande Avenue,
BF Homes, Parañaque City
http://www.godfathershoes.com/

 
 

Advertisement