ハロハロ・ノート

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2019年9月12日

~とっておきのフィリピン~

レチェフラン

第33回 leche flan

フィリピンのカスタード・プリン「レチェフラン」はフィエスタ(お祭り)やクリスマスに欠かすことのできないスイーツです。フィリピンのかき氷「ハロハロ」のトッピングとしてもおなじみですね。Leche(レチェ)はスペイン語で牛乳、flan(フラン)はプリンのことです。フィリピンには本来Fの音は無く、よくPと入れ替わる傾向があるため、leche plan(レチェプラン)と発音されることもあります。
フランの原型となる調理法は古代ローマの時代からあったそうですが、中世になると「平たい」という意味のあるfladoという名前のお菓子がスペインやフランスで作られるようになります。これがフランの語源だと言われます。のちにフランと言えば、スペインではカラメルにカスタード材料を流し込んで蒸し焼きにするプリン、フランスではタルト生地に材料を入れて焼く菓子を指すようになりました。ちなみにフランスではカスタードを蒸し焼きにしたお菓子はcrème caramelと呼んで区別しています。
このフランはスペイン植民地時代に海を渡り、メキシコ、コロンビア、キューバやフィリピンに伝わりました。中南米では「フラン・デ・レチェ」と呼ばれていますが、これらは卵白もいくらか使っているのに対して、フィリピンのレチェフランは卵黄しか使いません。卵黄しか使わないのは、石積みの教会を作る際に卵白をセメントの代わりに使ったからだという説がありますが、真偽のほどはわかりません。
レチェフランはllanera(リャネラ)と呼ばれる楕円形のアルミの型で作ります。フィリピンのレチェフランは「す」が入った物がありますが、これは調理時の温度が高すぎるため。口当たりの良いレチェフランを作るためには、静かに混ぜて気泡を作らないこと、できた気泡は取り除くこと、また一番大事なのが温度を高くしすぎないことです。
今回は筆者が義妹に教えてもらった分量をご紹介します。下記は基本の分量ですが、この典型的なレチェフランでは甘すぎると感じる場合は、お好みに合わせコンデンスミルクの量を減らして、その分を牛乳または生クリームに
変えても良いでしょう。(悦)

レチェフランのつくり方

<材料> リャネラ3個分
卵黄 10個分
☆コンデンスミルク 中1缶(300cc)
☆エバミルク(evaporated milk)  中1缶 (370cc)
☆バニラエッセンス 少々
☆ライムの皮のすりおろし少々(お好みで)
カラメル用に白砂糖 大さじ9杯(135cc)

<カラメルソースの作り方>
小鍋に白砂糖を入れ、中火にかけ、濃いきつね色になるまで5分程度待つ。カラメルが熱いうちにリャネラに均等に分け入れる。リャネラに入れたカラメルが飴状に固まっても、卵液を入れて調理すると溶けるため問題ない。カラメルを入れたリャネラは室温で冷ましておく。

<フランの作り方>
卵は卵黄だけをボールに割入れ、☆の材料を加え、泡立たないように静かに混ぜる。全体が混ざったら、ざるで濾し、リャネラに均等に注ぎ、気泡はすくいとって、アルミ箔で蓋をする。オーブンは160度(325F)に熱し、湯煎用のバットに半分程度水を入れてリャネラを並べ、1時間程度湯煎焼きにし、表面がツルっとした感じになり竹串を刺してカスタードが付かなくなればできあがり。蒸し器または鍋で蒸す場合は弱火で40分ほどでできあがり。

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