フィリピノ・ワールド 「クリスマス」

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2017年11月20日

 みなさん、こんにちは。Kumusta Kayo? 今年もパスコ(クリスマス)が近づいてきました。フィリピンは世界一長くクリスマスを祝う国と言われており、9月に入ったとたんに、Maligayang Pasko!(「楽しいクリスマスを!」)とクリスマスの挨拶が始まり、100日前ともなるとカウントダウンがスタート、ショッピングモールやラジオでもクリスマス・ソングが解禁になります。

 

 

Belen

Belen

フィリピンの典型的なクリスマス飾りは、三人の賢人をキリストに導いたと言われる星を形取った星形のランタンParol(パロル)や、Belen(ベレン)と呼ばれるキリスト生誕の馬小屋のシーンの模型など。これらの飾りつけも10月ごろから始まり、野外でパロルを売るお店の光景はこの季節の風物詩です。
しかし正式なクリスマス期間が始まるのは12月16日。この日からカトリック教会ではSimbang Gabi(シンバン・ガビ)が始まります。シンバン・ガビとは「夜のミサ」という意味ですが、ミサが行われるのは夜ではなく早朝。スペイン語からMisa de Gallo(ミサ・デ・ガリョ=「鶏のミサ」)またはMisa de Aguinaldo(ミサ・デ・アギナルド=「プレゼントのミサ」)とも呼ばれます。スペインではクリスマス・イブのミサだけ「ミサ・デ・ガリョ」と呼ぶようですが、フィリピンでは16日以降の早朝のミサ全てをこう呼びます。
クリスマス・イブには、真夜中に家族そろってNoche Buena(ノチェ・ブエナ=「良き夜」の意)と呼ばれる食事をとります。この真夜中の食事は、パン・デ・サルとケソ・デ・ボーラというボール型のチーズ、そしてハモン・デ・ボーラという丸いハムというのが伝統的メニューですが、最近は食事ももっと豪華になってきています。
「クリス・クリングル」とか「モニート・モニータ」と呼ばれるプレゼント交換の習慣もあります。オフィスや学校のクラスなどでくじ引きで決めた相手(男性はモニート・女性はモニータ)に、毎週テーマに沿って相手にばれないようにプレゼントを用意し、最終日にはプレゼントをあげていた親を公表します。
会社でも盛大にクリスマス会が開かれ、グループごとに出し物などを準備します。普段目立たないスタッフが、この日ばかりは歌やダンスの才能を発揮したりして驚かされることもしばしば。「その能力を仕事にも…」とついぼやきたくなる気持ちもわかりますが、スタッフの隠れた才能をこういう所で見られるのもまた興味深いものです。
クリスマスは、フィリピン人にとって家族や親戚が集まる大切な日です。プレゼントも子供にあげるだけでなく、集まった一人一人がお互いにクリスマス・プレゼントを渡しあう習慣があります。またこの時期に会う人達にも全員プレゼントを用意するので、どんなに早くから用意を始めても、毎年毎年まだまだ足りずに買いに走るはめになります。クリスマス前にはどこも買い物客で混雑するのもこのためです。さて、クリスマス当日はさぞかし賑やかだろうと思ったら、逆にスーパーもレストランもほとんどが閉まって閑散としています。最近は午後から開ける店も増えましたが、必要な物は前もって買っておく方が良いでしょう。
それでは皆様もどうぞ楽しく有意義なクリスマスをお過ごしください。
Maligayang Pasko! 

g 文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。

 

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