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2018年6月9日

第19回  Kaarawan  誕生日

みなさんこんにちは! Kumusta kayo?  フィリピンの人たちにとって誕生日は大変重要な日です。日本でも子供の誕生日には成長を祝いますが、フィリピンでは子供だけでなく、大人も誕生日を祝います。そして誕生日を迎えたその当人が、周りの人たちにご馳走するのがフィリピン式の祝い方。これはフィリピンで日本人がまず驚くことの一つではないでしょうか。
フィリピン語で誕生日はkaarawan(カアラワン)で、語根はarawつまり「日」です。またはKaarawan ng kapanganakan (カアラワン・ナン・カパがナカン*注)(*注「が」は鼻濁音)と言います。Kapanganakanというのは出生、誕生のことですから、まさに出生の日、誕生の日という意味です。「誕生日おめでとう」の挨拶は、フィリピン語では “Maligayang kaarawan(幸せな誕生日を)” または“Maligayang bati sa iyong kaarawan(あなたの誕生日に幸せの挨拶を送ります)”と言います。
子供の誕生日で特に重要なのは1歳、7歳と、女性は18歳、男性は21歳の誕生日です。1歳の誕生日には、カトリックなら幼児洗礼、プロテスタントなら献児式などを同時に行う場合もあります。しかし、これら以外のそれほど重要ではない誕生日も、やはり盛大に祝うのがフィリピン式。たとえば子供の誕生日には、幼稚園や小学校にパンシット(焼きそば)やスパゲッティ、フライドチキンやケーキを持っていき、教室でお祝いしてもらったりします。またクラスの友達、近所の人、親戚を招いて自宅やレストランやファストフード・チェーンで誕生会をしたりします。招待されたら、誕生日のプレゼントを持参します。招待状にはR.S.V.P.(「出欠のお返事ください」の意味)と書いてありますが、事前に返答する人はほとんどありません。また、招待状に書いてある開始時間は、実際の開始時間の30分前から1時間前になっていることがあります。大概の人が遅れて来るからです。行ってみると日本人だけが時間通りに来ていたりして、ここでフィリピンタイムが実感できます。
さて、パーティーではマジックショーがあったり、日本でも一般的な椅子取りゲーム “Trip to Jerusalem(エルサレムへの旅)”などのゲームをしたりします。子供向けのゲームだけでなく、大人が参加するゲームも用意されており、子供の誕生日会でも子供から大人まで一族が揃い、友達も家族みんなで参加するのもまたフィリピンらしいですね。
また大人の場合も、誕生日を迎えた人が、ピザやパンシットなどを用意し、同じ職場の人たちに振る舞うこともあります。このように周りの人にご馳走することをフィリピンでは “blowout”と言いますが、これはフィリピンでしか使わないフィリピン英語です。会社によってはそれぞれ個人が祝うかわりに、月に一度、誕生祝いの食事会やメリエンダ・タイムを設けることもあります。また「誕生日休暇」を設けている会社もあり、「日本では誕生日休暇が無い」と言うとフィリピン人に驚かれることもあります。それくらい誕生日はフィリピン人にとって大切な日なのです。誕生日は一年を無事に過ごすことができたことを、神様や周りの人に感謝し、その喜びを周囲の人達と分かち合う日というわけです。

文:デセンブラーナ悦子

日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。

 

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