フィリピノ・ワールド

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2019年7月8日

Filipino World

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Palengke

市場
フィリピン語 アレ・コレ

みなさんこんにちは!Kumusta kayo? フィリピン語では市場をpalengke(パレンケ)と呼んでいますが、これはスペイン語のpalenqueが語源です。しかし実はスペイン語でpalenqueは「木の柵」や「板塀」のこと。机などが並べられた集会所などの意味で使われることもあったため、テーブル等を並べて物を売った場所をpalenqueと呼んだのが始まりのようです。ちなみにスペイン語の「市場」はmercadoと言い、ビサヤ語ではそのままmerkadoを使っています。
フィリピン語のパレンケは公設、私設を問わず規模の大きな市場を指します。道沿いなどに店舗がいくつか並んでいて、近所の人がちょっとその日の食材を買いに来るような小規模な市場はこれらと区別してtalipapa(タリパパ)と呼んでいます。市場にレストランが併設されていて、市場で買ってきたものを調理してもらうスタイルの場所はDampa(ダンパ)と呼びます。
市場は、一年中ほぼ休みなく営業しています。さすがにクリスマスの午前中、元旦の午前中と復活祭前の土曜日だけは閉まっ

ている店も多いですが、それ以外の日なら毎日買い物ができ、生鮮食品の他、鍋釜など日用品、業務用の調理器具から南京錠や時計の修理、おもちゃまで、なんでも手に入る庶民のショッピングセンターです。一番活気があるのは土曜日と日曜日。ホリデー前には客が多く、ごった返します。
さて、市場では、店の売り子さんたちに “Suki(スキ)”と呼びかけられます。Sukiとはお得意さん、馴染み客のことで、よく「日本語の『好き』がsukiになったんだ」などと説明するフィリピン人もいますが、残念ながら中国語の「主客」が語源という説が有力です。本当に顔なじみになると、毎週のように会うお店のおばちゃん達とのやり取りも楽しみの一つになってきます。
「これはいくら?」は “Magkano ito?”(マッカーノ・イト?)と言います。 “Tatlo one hundred”と言われたら、Tatloは3のことなので、つまり「3つで100ペソ」という意味になります。日本では肉を買う時などグラムを使うことが多いですが、フィリピンでは通常キロが基準です。“kalahati(半分)”と言えば、1キロの半分、500グラムのこと。1キロは 英語で“One kilo”でももちろん通じますが、フィリピン語なら“isang kilo”です。“One fourth(4分の1)”なら250グラムのことです。魚介類の値段もキロが標準ですが、値札には“450 kalahati”つまり「半キロで450ペソ」と書いてあることがあります。カラマンシや小ぶりなミカンなどは一山いくら、という表示がしてあることがあります。一山は “isang tumpok”。野菜などで一束いくら、というときは “50 isang tali”のように書いてあります。Taliというのは紐のことなので、「一束50ペソ」という意味です。
最近は大型スーパーなどの出店で、フィリピンでも伝統的な市場の経営が厳しくなり閉鎖するところも出てきましたが、より買い物しやすくなるよう、モール型の市場として整備する市町村も出てきています。やはりフィリピンの一般庶民にとっては、スーパーの野菜や魚は市場より値段も高いし、なにより新鮮さならパレンケは負けていません。パレンケは一般庶民の大切な台所。形は変わっても、まだまだパレンケ文化は引き継がれていくことでしょう。

文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。

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