フィリピンの山の楽しみ方を紹介! – マナルモン山

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2016年12月5日

マナルモン山  160m ブラカン州サンミゲル町

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フィリピンの自然といえば美しい白砂のビーチを想像する方が多いだろう。セブやボラカイ、パラワンなど有名どころから穴場まで無数のビーチリゾートがある一方、フィリピンには魅力的な景観を誇る山々が全国に存在する。近年は、格安航空の台頭やSNSでの情報拡散で国内旅行が盛んになり、また安定した所得を得ている中間層、富裕層の一部で環境、自然、健康志向が高まっていることから、「趣味としての登山」も静かな広がりを見せている。ビーチだけではもったいない!日帰りで行けるハイキングスポットから泊まりまで、フィリピンの山の楽しみ方を紹介したい。
第1回は、ルソン地方ブラカン州サンミゲル町にあるマナルモン山。首都圏から日帰りで行けるハイキングコースとしておすすめだ。標高160mと、山というより小高い丘と言った方が良いレベルで、初心者でも片道約40分で登頂できる。登山以外にも、洞窟探検や、マドゥルム川での遊泳、綱渡りを一緒に楽しめる点が家族の休日にぴったりだ。登山口には駐車スペースもあるので、車で行くのもよし。
マナルモン山は、サンミゲル町一帯約660ヘクタールに広がる、ビアクナバト国立公園の中にある。1937年にケソン大統領によって国立公園に認定された同地域は、スペイン統治期の独立革命運動で、後に初代大統領となるエミリオ・アギナルドが秘密結社カティプナンを率いて拠点を置いた地として知られる。アギナルドは一時スペイン軍を破り、1897年にフィリピン最初の共和国宣言と言われる「ビアクナバト共和国」を樹立した。国立公園の中には100を超える洞窟があり、カティプナンのメンバーらが身を隠しながら、スペイン軍と戦ったという。アギナルドの史跡をたどるハイキングコースも別にあり、こちらは旅行会社が首都圏から日帰りツアーを組んでいるものもあるので、ぜひ参加してみたい。ブラカン、リサール、カビテ各州は、独立革命運動にゆかりのある山が多い。
マナルモン山の隣にはゴラ山(160m)もあり、続けて登ることもできる。いずれも標高は低いが、山頂からは、広い青空と、東にシエラマドレ山脈、北東にパンパンガ州のアラヤット山(1030m)を望む緑の景色が広がっている。一端登山口に戻り、洞窟探検に行けば、3mほどの穴をロープをつたって下りたり、暗く狭い洞窟の岩の隙間を体を折って進んでいったりと、スリルのあるコースを楽しむことができる。
登山口のマドゥルム川では、ベアブランド粉ミルクのCMでも使われた、綱渡りも体験できる。川の上にワイヤーが上下2本張ってあり、安全綱を付けた状態で向こう岸まで綱を渡っていく。無料なのでぜひ挑戦してみよう。
国立公園ということもあり、自治体と環境天然資源省が山を管理している。ガイド無しでも全く迷わないコースではあるが、ローカルガイドを必ず付けなければならない。少し料金が高めだが、ルー
ルは明確に設定されており、どの登山客に対しても平等なので、管理されていない山でガイド料をぼったくられるよりよほど良心的だ。
登録しているガイドは約50人で全員地元住民。毎月第1水曜日にはガイド全員で登山道のゴミ拾いを行っている。私たちを案内してくれたロデロ・ガロノさん(58)はビサヤ地方イロイロ州から移り住んで30年。山で炭を作って売ったり、イノシシやシカを狩って生活していたが、5年前からガイドになり、現金収入が少し増えたという。ガイドのおじさんたちとの会話も、山登りの楽しみの一つだ。

山頂からの景色が登山の醍醐味


歩き始めてすぐには沢を渡るポイントもある


ブラカンやリサール州の山々ではこのような白色の岩場と洞窟群がみどころの一つ


ベアブランド粉ミルクのCM撮影でも使用された綱渡りを体験


ヘッドライトを着用し、ガイドのお兄さんたちに補助されながらせまい洞窟内をよじ登る


TRAVEL GUIDE


行き方・交通費
首都圏ケソン市クバオからカバナトゥアン/Cabanatuan行きのバスに乗り、ブラカン州サンミゲル町カミアスで下車。ビアクナバトに行くと言えば、車掌さんがカミアス・バランガイの中心部トライシクル乗り場で下してくれる 。トライシクルに乗り30分ほどで、マドゥルム川のほとりにある登山口に到着。
•クバオ→サンミゲル町カミアス
〔バス130ペソ/人〕
•カミアス→登山口 〔トライシクル200ペソ/4人〕
入山料、ガイド料
•入山料はないが、Environmental Fee(環境保全料)が1人40ペソ必要。
•ローカルガイドなしでは登山できない。登録所に行き、一山当たり300ペソを支払う。ゴラ山にも登る場合は600ペソになる。洞窟のガイド料は200ペソ。登山は客10人につきガイド1人、洞窟は客5人につきガイド1人が必要。
•洞窟用ヘッドライトは1個30ペソで借りることができる。
•土日や祝日など混雑が予想される場合は、事前に自治体の登山客管理担当者に連絡し、登山許可を取得することが推奨されている。許可なしでも当日飛び入りで登山できるが、ガイドが足りない場合は登山できないこともあるので注意。

◎ Navi Manila Vol.27 より

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