フィリピン大学(UP)にお目見えしたブロンズ像 「アップリフト」が話題に

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2017年7月8日

長い髪を垂らした女性裸像が空中に浮遊
The “UPLift” sculpture at the University of the Philippines-Diliman
by artist Ferdinand Cacnio

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アップリフトをバックにスマホでセルフィー(自撮り)をする学生ら。SNSの拡散力でたちまちのうちに話題になった


フィリピン大学(UP)のディリマン校(ケソン市)のキャンパスに6月、長い髪の女性裸像が空中に浮遊しているブロンズ像「アップリフト(Uplift)」がお目見えして話題になっている。「UPLift」と最初の2文字を大文字にしてフィリピン大学の略字をかけて表記されることが多い。
像があるのは正門を入って左に進んだところにあるビリャモールホール(ユニバーシティシアター)前。像の下は小さな人工池になっている。制作したのは女性のブロンズ像で有名なフェルディナンド・カクニオ氏。フィリピン大学の同窓生などからの募金をもとに約10年をかけて作った。
土木工学技師の経験をもつカクニオ氏は髪の部分を胴体の支柱にして地中に埋め込み、まるで女性が浮遊しているかのような趣きに仕上げることに成功した。像の高さは約2メートル、全身に金メッキが施されている。両手を伸ばして垂らし、自然なあおむけのスタイルで女性的な優雅さを表現。設置当初から学生たちがひっきりなしに立ち寄ってはアップリフトをバックにスマホでセルフィー(自撮り)、SNS(インターネット交流サイト)で拡散し、たちまちのうちにキャンパスの有名スポットになった。遠いヨーロッパから、2001年に作られたオランダの女性像の盗用ではないかという批判まで出て、キャンパス内を二分する論争にまで発展。それに対してカクニオ氏は、「オランダなど行ったこともないし、そんな像は見たこともない。完全な偶然の一致に過ぎない」と一蹴した。
フィリピン大学に入ったらコンクリート製の、両手を広げ上を向いた男性裸像「オブラション」が出迎えてくれる。戦前からの大学のシンボルだ。オブラションは強い意志と挑戦、社会への奉仕と貢献を学生に問いかけている。アップリフトは設置当初から、その女性版ではないかとの噂があった。しかしカクニオ氏は、そうではないと言い切る。広げた両手は、女性も常に上昇志向をもち広い知識を求める開放的な生き方をすべきであること、ひいてはフィリピン大学が目指すべき教育理念を表したものだと、その制作動機を語っている。
最高学府での議論はこれからも続きそうだ。

ブロンズ像「アップリフト」を制作中のフェルディナンド・カクニオ氏(同氏フェースブックより)


フィリピン大学キャンパスの像の前に立つカクニオ氏(同上)。像はビリャモールホール(ユニバーシティシアター)前

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