ルソン島北部コーヒー収穫体験の旅

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2017年11月20日

 A tour to experience coffee bean harvest.
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ルソン島北部、バギオから北に広がるコルディレラ山岳地帯は、実はおいしいアラビカ・コーヒーの産地。
フィリピンのコーヒーは世界的にはほとんど知られていないが、その歴史は意外に古い。一説では、1740年代、メキシコからガレオン船でマニラを経由したフランシスコ会の修道士が持ち込んだコーヒー豆が、バタンガスのリパで栽培されたのが起源と言われている。一時はリパの土地の3分の2がコーヒー農園だったという。
コーヒーは大まかに3つの種類があるのだが、「バラコ」という名前でフィリピン国内で売られているコーヒーの多くは、このバタンガス産のリベリカ種と、その後入ってきたロブスタ種のコーヒー豆だ。リベリカ種のコーヒーは世界のコーヒーの流通の1%にも満たない希少種。しかし、アロマに乏しいため、世界のコーヒー市場ではあまり好まれていない。ロブスタ種はおもにインスタント・コーヒーの原料になる。
コルディレラ山岳地方で栽培されているのは、世界中のコーヒー愛好家が飲用するアラビカ種。標高800-1000m以上の高地でしか生育せず、豊かなアロマと、酸、甘みなど複雑な味を楽しめる。日本のカフェで提供されてるコーヒーや、店舗でレギュラー・コーヒーとして販売されているのは、このアラビカ種がほとんどだ。
コルディレラ山岳地方のアラビカ・コーヒーは、1800年代後半にスペイン人が金鉱山の調査
の時に持ち込まれたものといわれている。スペイン人たちが通った集落を中心に脈々とコーヒ
ー栽培は続けられ、先住民族の暮らしの中でコーヒーは客人をもてなす特別の飲み物として溶け込んできた。
そして、2000年代半ばからは、貧困層にある先住民族たちに生計手段を与えるための “ホ
ープ”として、農業省(DA)や環境資源省(DENR)、通商産業省(DTI)などが一斉にアラビカ・コーヒーの苗木の支給や栽培指導を開始した。コーヒーの木は植えてから最初の収穫が始まるまでに3~5年ほどかかるのだが、そのアラビカ・コーヒーが近年収穫期を迎え、市場に出回りだした。
まだ、収獲後の皮むき、発酵、洗浄、乾燥などの複雑な加工工程が未成熟で品質は安定しないものの、一部の豆の品質は格段に向上し、マニラのスペシャルティ・コーヒーショップなどでも、コルディレラ産のおいしいコーヒーを飲めるようになった。

熟した赤いコーヒー豆を必粒ずつ手で摘むPick up ripe red coffee beans by hand

熟した赤いコーヒー豆を必粒ずつ手で摘むPick up ripe red coffee beans by hand


摘んだコーヒー豆の皮を皮むき器で剥くPeel the picked coffee cherries


バギオ市に拠点を置く環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」は、山岳地方の環境保全と先住民族の暮らしの向上のために、2005年から先住民族のコミュニティでのコーヒー事業を行ってきた。栽培農家から適正価格でコーヒー豆を買い取り、日本のフェアトレード市場への販売も始めている。コルディレラ地方のコーヒーのおいしさをフィリピン国内や海外の愛好家に伝え、またコーヒー栽培地での栽培農家の収穫や加工作業を知ってもらうため、年に数回の収穫&加工体験ツアーを開催している。
収穫は毎年11月ごろから始まり1月くらいまで。今期の収獲体験ツアーの日程は以下の通り。
●2017年12月2日(土)~3日(日)
●2018年1月4日(月)~5日(火)
●2018年1月27日(土)~28日(日)
1日目:コーヒー栽培農家と一緒に収穫と収穫後の加工作業
2日目:コーヒー専門家とともに乾燥したコーヒー生豆の選別・手焙煎・カッピング
訪問するコーヒー生産地:べンゲット州カパンガン町、キブガン町、トゥブライ町のいずれか
参加費:1日のみ1,600ペソ、2日2,800ペソ(交通費、昼食込み、おみやげコーヒー付き)
※シェア&ゲストハウスTALAでのご宿泊は含まれていません。
集合場所:
バギオ市シェア&ゲストハウス TALA
25 J. Felipe Street, Gibraltar, Baguio City
https://www.tala-guesthouse.org/
お問い合わせ/お申込み:
kapitako.cordi@gmail.com

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