街のオブジェはなぜ消えた?

この記事をシェア

2018年12月17日

寂しいクリスマス??
by: 蝶谷 正明(セブ日本人会)

一人寂しくイブを過ごすという意味ではありません。私がセブに来たのは2007年3月です。当時のセブのクリスマスは日本人には驚き以外の何ものでもない賑やかで派手なものでした。
もちろん宗教的なバックグランドを伴う当地と単なるお祭り騒ぎの日本とを比較することが間違いかもしれませんが。当時、街の辻々には等身大のキリスト生誕の様子を表現した張りぼてが競い合って飾られていました。これを見物することがクリスマスの楽しみの大きな部分を占めていました。

ナティビティ(Nativity)と呼ばれるキリスト降誕の様子を表現したオブジェ。かつては街のそこかしこにこのようなオブジェが競い合って飾られていた

マリアとヨセフ、犠牲の羊を背負った羊飼い、東方からの王や学者、馬や羊が厩の中で降誕したキリストを見守っています。ねぶたの様な骨組みに紙を張ったもの、藁や椰子の葉、木、石などの素材、写実的、抽象的、その道のプロや美大の学生が作ったアートから、いかにも素人が苦労したと思われる素朴なものまで様々です。
日が暮れると電飾や照明に照らされて更に深みが出てきます。家族、恋人、友人などが連れだって楽しんだものです。日本のお祭りで各町内の山車や飾りを見物したような雰囲気です。懸賞のあるコンクールがあったとの話も聞きました。
しかし2014年ビサヤ地方に壊滅的な被害を及ぼした台風ヨランダの襲来の頃からどんどん下火になり、去年、今年は一つも目にすることが出来なくなっています。

2014年のクリスマスはさすがに自粛ムードが漂い、誰もが被災地にお金や物資を送るのに必死でした。これがトリガーになってしまったようです。モールのクリスマス関連の売り場も年々縮小気味です。街の電飾も寂しくなっているような気もします。所得は伸びているのですから、人々の価値観が変化してきているのでしょうか。より現実的なお金の使い方を志向するようになったのかもしれません。

 

Advertisement