「ビコール・エクスプレス」試運転車に同乗

停車する「こがね」と線路を点検するPNR職員ら=18日午後5時ごろ、ビコール地方南カマリネス州で

日本や韓国から中古車両を導入して長距離路線の「再々起」をかける国鉄は、11月18日、クリスマス前の復旧に向けて報道関係者を招いての試運転を行った。
約50人の報道関係者を乗せた「こがね」は早朝、マニラ市のトゥトゥバン駅を出発した。国鉄職員が「コガニ」と呼んでいるこの車両は、JR東日本仙台支社から譲渡されたジョイフルトレインだ。国鉄が管理する線路は4年間も放置されていたため道中は予想以上のハプニングが。
ラグーナ州のカブヤオ町では線路上にタリパパ(青空市)がたっていたり、ケソン州のカンデラリア駅では結婚式のパーティが行われているなど、国鉄関係者もさすがに驚いたようす。また、ナガ手前のラガイ町の橋げたが修理中のため渡れず、乗客のみ人力のトロッコで移動した後、待ち合わせていた別の車両に乗り換えるアクシデントもあったが、午後10時ごろ無事、終点のナガ駅に到着した。所要時間は17時間だった。377キロを平均時速20キロの低速で走ったことになる。
同乗した国鉄のジョセリーン・ヘロニモ代表は、沿線住民の立ち退きを話し合いで円満解決しながら、線路や施設の修復を急ぎたいとしたが、運行再開は2017年初旬に持ち越されることになった。
マニラ市―ナガ間を10時間弱で走破するバスに対抗しようと、国鉄はこれまで、許容以上のスピード走行をしてきた。このことが原因で過去に幾度かの事故が起きている。寝台車が廃止になりつつある日本と、寝台車復活でバスに対抗したいフィリピン国鉄。そのいっぽうで、日本から譲り受けたきれいな車両で、「スピードを競わずもっと快適なのんびり列車旅をしてみたい」と願うフィリピン人国鉄ファンもけっこう多い。

終着駅のフィリピン国鉄ナガ駅

ナガ駅とシポコット駅を結ぶ在来線の軌道。枕木もコンクリート製で比較的整備されている。線路ではトロッコが「黒字経営」。
◎ Navi Manila Vol.28 より