スンカは16個の穴をくりぬいた木の板と、98個の「sigay(シーガイ)」と呼ばれる貝殻またはタマリンドの種を使うフィリピンの伝統的なゲームです。どのように伝わったのか、東南アジアからアフリカまで同じような遊びが見られ、アフリカではマンカラ、インドネシア、マレーシア、シンガポールではコンカック、またはコンクラックと呼ばれます。
スンカ盤には「bahay(バハイ=家)」と呼ばれる7つの穴が二列に並んでいます。手前が自分の陣地、向こう側が相手の陣地です。そして両端に大きめの穴

があり、

これは「ulo(ウロ=頭)」または「subi(スビ=貯蓄場、貯めること)」と呼ばれ、スンカ盤に向かって左側が自分の「スビ」です。この「スビ」にできるだけ多くの貝を貯めること(「スビ」すること)が最終的な目的です。遊び方は一度覚えてしまえば単純ですが、実は分析力と暗記力が必要な頭脳ゲームです。

 遊び方  How to Play

 ゲーム開始前にまず全てのバハイに7つずつ貝を入れます。貝を全部入れ終わったら、ゲームを開始します。
まず始めは自分と相手が同時に、自分の陣地からバハイを一つ選び、そこに入っている貝をすべて右手で取ります。そして貝を取ったバハイの左隣から、時計回りに一つずつ貝を入れていきます。自分の「スビ」にも一つ貝を入れ、続けて相手の「バハイ」にも貝を入れていきますが、この時相手の「スビ」だけは貝を入れません。
最後の貝を入れたところに貝があれば、そこの全ての貝を手に取り、そのままゲームを続けることができます。最後に貝を入れた所が自分の「スビ」であれば、自分側の陣地の「バハイ」を一つ選んで、その中の貝を取り、同様にゲームを続けることができます。貝を最後に入れたところが空であれば、この回はそれで「パタイ(アウト)」です。もし自分の陣地側でパタイになり、その向かいの相手のバハイに貝がある場合は、その全てを取り、自分の最後の貝と一緒に自分のスビに入れられますが、もし相手側の陣地でパタイになった場合は、何も取れず、相手の回が終わるまで待たなければなりません。これを交替で繰り返しますが、一方の全てのバハイが空になった時点で一旦終了です。相手のプレーヤーはその時点で手元のバハイに残った貝を全て取り、自分のスビに入れます。
次は、それぞれ自分のスビに入っている貝を、7つずつ、一番左のバハイから順に分配しますが、貝が余れば、自分のスビに戻します。逆に相手は貝が足りないので、貝を7つ入れられないバハイができたら、そこは「スノッグ(焼け焦げた)」といい、そのバハイはもう使わずに(スキップして)ゲームを続けます。最終的に一方の側の穴が全部スノッグになればそこで終了です。
スンカは昔は田舎に行くとチェスと並んで人気のある遊びで、どこの村にもスンカ必勝法をマスターしたおばあさんがいたものです。一緒に遊ぶと、一回目に同時に始める時以外、もう一度も貝に触れないうちに全ての貝が取られてしまいます。そういう人はどの穴から初めて、どういう状況の時にはどこから始めるというのを全部記憶しているのです。筆者の夫の祖母もそんなエキスパートの一人でした。
最近はこういった伝統的な遊びをする人も少なくなりましたが、スンカ盤はお土産屋さんで購入できます。皆さんも遊び方を知っている人とぜひ挑戦してみてくださいね。(悦)