Filipino World
第29回
Salitang inuulit
繰り返す言葉
フィリピン語 アレ・コレ
みなさんこんにちは!Kumusta kayo? フィリピン語を聞いていると、繰り返す言葉がいろいろありますね。実はその繰り返し方によって、意味が変わってくるのです。
1.言葉+ng/na+言葉
言葉と言葉の間にng(ナン)またはna(ナ)が入る場合は、その言葉の意味が強調されます。たとえばlakad(ラカッド=歩く)をlakad ng lakad(ラカッド・ナン・ラカッド)にすると、「すごく沢山歩くこと」の意味になります。Tawa(タワ=笑う)がtawa ng tawa となると、同様に「すごく笑うこと」「笑ってばかりいること」となります。 母音で終わる形容詞の場合には-ng(ン)、子音で終わる形容詞の場合は、na(ナ)が間に入り、
puting puti(プティン・プティ)と言えば真っ白なこと、
magulong magulo(マグロン・マグ
ロ)と言えば、とてもグチャグチャなこと、maayos na maayos(マアヨス・ナ・マアヨス)と言えば、とてもきちんとしていること、の意味になります。
2.言葉-言葉
ところが、言葉と言葉の間に何も入らず、その言葉そのものだけが繰り返される場合は、逆に意味が軽減されソフトになることがあります。たとえば上に挙げたlakad(ラカッド=歩く)がlakad-lakad(ラカッド・ラカッド)となれば、楽しみながら歩くことだったり、そんなに一生懸命ではなく娯楽のためにリラックスして歩くことだったりします。娯楽のためにブラブラ歩くことをpasyal(パシャル)と言いますが、モールなどでpasyal-pasyal(パシャル・パシャル)することも、フィリピン人の好きな余暇の使い方ですね。フィリピンの人たちは蟻塚には小人が住んでいると言って、近くを通る時 “Tabi-tabi po”(タビ・タビ・ポ)と言ったりしますが“tabi”(よける)を重ねることで、直接的に「よけろ!」と命令するのではなく、「ちょっとよけといてくださいね」という婉曲的なニュアンスにしているのです。
3.言葉-言葉+ -an
言葉を繰り返して、最後に接尾辞の-anが付くと、「~のふりをすること」「ごっこ遊びをすること」の意味になります。たとえばbahay-bahayan(バハイ・バハヤン)と言えば、bahayは家ですから、「おままごと」の意味になります。Lutu-lutuan (ルトゥルトゥアン)は「料理」という意味のluto(ルト)を繰り返して-anを付けているので、「お料理ごっこ」となります。同様にtagu-taguan(タグ・タグアン)は「隠れる」という意味のtago(タゴ)が変化したもので「かくれんぼ」の意味になるというわけです。
この他にもフィリピン語には繰り返す言葉がたくさんあります。Lapu-lapu(ラプラプ)、Maya-maya(マヤマヤ)などの魚の名前やlayang-layang (ラヤン・ラヤン=燕)など鳥の名前、waling-waling(ワリン・ワリン=ランの一種)など植物の名前にも繰り返す言葉がありますし、Halo-halo(ハロハロ=フィリピンのかき氷)やsapin-sapin (サピン・サピン=層状の餅菓子)など食べ物の名前もありますね。日本語にも「段々」や「いろいろ」「ギリギリ」等繰り返して使う言葉が多いので、親しみやすく、可愛らしくも聞こえるのではないでしょうか。
文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。