スタジオ・カフェ
“Studio cafe” : Where world photographers gather.
バギオはフィリピンでも有数のアーティストが多く住む町。ミュージシャン、画家、詩人そして写真家たちが、日々製作活動にいそしむ。そんなバギオに写真家が集うカフェがあるという噂を聞きつけた。バギオのメインストリートのセッション・ロードにあるというそのカフェを訪ねた。
その名も「スタジオ·カフェ」。
何を隠そう、私も写真家として活動している。いわばバギオの写真家のひとりなのだ。
カフェを訪れると同じくセッション・ロードにスタジオを構える写真家オンポン・タンが店主と話をしていた。
「やあユウヤ、ここでは初めて会うね」
彼は私を見かけるとそう声をかけてきた。写真家の集まるカフェとは噂に聞いていたものの、さっそく友人に会えるとは思ってもみなかった。どうやら写真家の集まるカフェという噂は本当のようだ。
このカフェの店主はPhoto Tech という写真スタジオを33年間経営している写真家のマーク・ペレスさん。去年、スタジオの入り口を改装して「スタジオ・カフェ」をオープンしたそうだ。
セッション・ロードに面した3階のカフェには大きな窓があり、壁にはマークや常連の写真家の写真が飾られている。中でも、ひときわ目を引くのはバギオで活躍しているトミー・ハファラが30年前に撮影した山岳民族のポートレイト。彼が自ら暗室でフィルムからプリントしたそうだ。
「これは彼が昔撮ったやつだよ。バライタ紙(紙を下地にした写真印画紙)を使ったから今でも褪せていないね」
確かに30年前のプリントとは思えないほどにきれいな状態で、装飾品を身に纏った人物の風貌が見事に表現されていた。トミーがマークにプレゼントしたものだそうだ。
カフェの食器やインテリアも、写真家の美意識が反映されていて洗練されている。コーヒーはバリスタが1杯ずつ丁寧にエスプレッソマシンで淹れたもの。ケーキやビスケットとの相性もばっちり。店内に置いてある雑誌に目を通しながらゆっくりとコーヒーブレイクを楽しむことができる。
カフェの常連客の多くは写真家や写真愛好家だという。私が訪ねた時には、ロサンゼルスから来た写真家のポールが自分の仕事について話していた。
「学校を卒業してからすぐ写真業界に入ったんだ。LAにはたくさんの俳優がいて彼らのヘッドショット(顔写真)を撮るのが仕事だった。彼らはオーディションのためのゼットカード(モデル写真)が必要だったからよく仕事をくれたよ」
こんなふうに常連客の写真業界や写真についての面白い話が聞けることも、写真好きにはたまらないこのカフェの魅力だ。
私が訪れたときの写真家達の話のトピックは、もっぱら2~3月に開催されるバギオ最大のお祭り「パナグベガ」(フラワーフェスティバル)について。取材の次の日はパナグベガの初日で、マークとオンポンは撮影の作戦会議をしていたようだ。
「明日はパレードがあるから開始1時間前にパナグベガ・パークに行って下見をするといいよ。それではまた明日、会おう」
彼らはそう言って、その日は解散していった。
翌日勧められた開始1時間前に会場へ行くと、すでにオンポンが写真を撮っていた。念入りに下見をしたおかげで、パレード本番では素晴らしい写真を撮影することができた。
写真家達の集うスタジオ・カフェ、写真を見るのも良し、写真に囲まれてコーヒーブレイクを楽しむのもよし、地元の写真家たちの写真談義に参加するのもよし。写真が好きな人にとっては楽園のような場所だ。
(Cordillera Green Network & Share and Guesthouse TALA インターン 高橋侑也)
マフィンやブラウニーなどのケーキ類のほかにもアイスやビスケットもあるIn addition to cakes including muffins and brownies, there are also ice cream and biscuits. | マフィンやブラウニーなどのケーキ類のほかにもアイスやビスケットもあるIn addition to cakes including muffins and brownies, there are also ice cream and biscuits. |
【Studio Cafe】
3rd Floor, Antipolo Building, #201 Session Road, Baguio City
Tel: (074)442-8305
Facebook: https://www.facebook.com/StudioCafeatPhotoTech/
営業時間/ 9am ~8pm 定休/日曜日