「フィリピンで一緒に旅してくれてありがとう!」
両親は共に70代。自分が年を重ねてくると自然親はそんな年になる。
その両親が今回マニラに遊びに来てくれた。それなりの滞在期間があるのでマニラだけでなくどこかに出かけたいと思い検討してみた。
あまり遠いところは疲れるだろう。マニラ近郊でも渋滞を考えると何時間も車に乗ることになってしまうかもしれない。車移動はできるだけ少なくて済むようにしたい。船も長時間だと厳しいかもしれない。
そこでひらめいたのは「そうだセブ、行こう。」(JR東海さんすみません。まるごといただきました。)
両親との旅にセブがいい理由も満載だ。
❶飛行機の本数が多く、都合に合わせて朝から夜まである中から選べる。
❷空港からほど近くにリゾート気分を味わえるホテルが数多くある。⇒車の移動距離が短く、ホテルの選択肢が多い。
❸ビーチでのアクティビティだけでなく観光ポイントも多い。
❹都会的な便利さとのんびりした田舎らしさを両方味わえる。
❺おいしい和食屋さんが多い。
❻いざの時にも日本語で対応してもらえる病院がある。 などなど。
これはもうセブに行くしかない!というわけでフライトを予約し、ホテルをおさえ、あとは当日を待つばかり。
何が起こるかわからないのがフィリピンで、前日になって予約していた飛行機の一方的キャンセル通告があったりして焦ったが、別の便を取り直しそのあとはスムース、意外な定時離陸でかえって驚かされた。
セブ・マクタン空港に到着。ホテルからの迎えがずらりと並んでいるが、送迎を頼んでいない場合も空港ビルを出て右に進むとすぐにタクシー乗り場がある。黄色いエアポートタクシーも白い通常のタクシーも十分な台数が待ち構えていた。
ホテルは空港から20分くらいのマリバゴ地区。ホテルを選ぶときのポイントは
❶空港や主要地域からの移動時間が長くないこと
❷ある程度の規模があり、ホテル内で食事や時間を過ごすことができること
❸リゾート気分を満喫できること
ホテルは期待以上で、部屋についたときは興奮してはしゃいでしまった。この部屋に通された時の始めの感じ、感動もしくはがっかりは旅の中で尾を引き、結構重要な気がする。特に親との旅では。
初日はホテル内で昼食、そしてのんびり過ごし夜は近所にある評判のレストラン へ。ホテルの中だけじゃなく街を歩いて地元の空気に触れることができてこそ、旅の楽しみも増す。
2日目はまずセブシティへ観光に。ホテルからセブシティまでは40分ほど。日曜ということもありマニラで日々うんざりしている渋滞にも悩まされず順調に街につく。
セブは観光できる場所も多い。これはマリンスポーツを楽しめない年代にはありがたい。
先ず訪れたのはサント・ニーニョ教会、1565年に建造されたフィリピン最古の教会のひとつ。マゼランがセブの女王に送ったといわれる幼きイエス・サント・ニーニョを祀っている。
ちょうど日曜だったので大規模なミサが行われており、大勢の人の熱気と歌声と宗教の持つパワーに当てられながら、すぐ裏手にあるマゼラン・クロスへ。大冒険家マゼランはセブにいくつかの足跡を残しており、マゼラン・クロスは六角堂の中にマゼランが造ったといわれている十字架が納められている。
雨期にもかかわらず暑い日で、しかも観光ポイントはクーラーのない表がほとんど。効率を考えて次々とまわりたくなるが、熱中症対策の水分補給としっかり休憩をとることが大切。今回両親に若干無理をさせてしまったので、皆さんにはご注意いただきたい。
幸いにもセブシティには気の利いたカフェや気軽に入れるカジュアルな店も多いのでカフェめぐりも楽しんで。
その後、サンペドロ要塞、マニラのイントラムロスにあるフォートサンチャゴと並んでフィリピン最古の要塞である。ランチには在住日本人の間で人気の日本人オーナーが経営する洋食屋 へ。英語留学にきているらしい日本人の若者も多い。
おなかがふくれた後は、ホテルに戻ってビーチやプールでゆったり過ごす。移動距離が短いので時間がたっぷり使えるのがいい。普段はしないこともできてしまうのが旅のいいところ。両親が泳いでいる姿を見ると、セブに来て良かったと心から思う。
その夜もホテルから歩いてすぐの日本人経営のステーキハウスへ。泳いだせいか普段は魚派の両親も肉食系になり、カントリーミュージックを聴きながら食が進む。マニラもそうだが、フィリピンで頑張っていらっしゃる日本人オーナーさんは応援したくなる。
朝、ホテル のビュッフェも楽しみのひとつ。食事がおいしいこと、選択肢が多いことは大切なポイントだと思った。
フレンドリーなホテルスタッフに見送られチェックアウトの後は、マクタン島の観光へ。
ギター工場は日本語の堪能なオジサンが案内してくれて、日本の曲を弾いて聞かせてくれる。セブは世界でも有名なギターの生産地で音が良いと評判らしくマクタン島には家族経営の小さな工場が点在している。音楽好きのお父さんならおみやげにウクレレなどいいかもしれない。
訪問先の締めはマゼラン記念碑とラプラプ像、マゼランを討ち取ったマクタン島の酋長ラプラプは筋骨隆々でたくましい。ラプラプはヨーロッパ人のアジア侵略に対して立ち上がった最初の東南アジア人であり、フィリピンの英雄だ。マクタン島にはラプラプ市があり、フィリピンを代表する高級魚ラプラプもこの英雄にちなんだものだ。
旅をすると歴史を知りたくなる。歴史を学ぶと、旅がしたくなる。
この後、空港からマニラに無事帰着。余裕をもっているつもりでも旅は疲れる。高齢の親なら尚更だ。
旅の前後は何も予定を入れずに、部屋でのんびりできるようにすることも大切だ。元気で帰ってこそ、旅の思い出は楽しいものとなるのだから。
マニラで暮らしている方で、親を呼ぼうかと思っている方もいらっしゃるだろう。ぜひ、一緒に旅してほしい。帰省のときは違う会話ができると思う。
最後に一言、「フィリピンに来てくれて、一緒に旅してくれてありがとう!」紙面を借りて両親に感謝を伝えたい。
仮面ライター 703号
お店情報 ※1マリバゴグリル Maribago Grill Bagumbayan, Maribag (032) 495-8187 ※2スキレット Japanese Cafe&Bistro Skillet Mandaue, Philippines (032) 417 2805 ※3ウェスタン・ステーキ・ハウス Western Steak House Buyong Rd., Maribago, Lapu Lapu 6015 (032) 495 3883 ※4アレグレ・ギター工場 Alegre Guitar Factory Abuno, Lapu-Lapu city |
◎ Navi Manila Vol.27 より