みなさんこんにちは! Kumusta kayo?今回はフィリピンにあるたくさんの迷信、第2回目です。
妊娠、出産に関する迷信
日本では、産まれる子の好物を妊婦が食べたがると言われますが、フィリピンでは“Kung ano ang pinaglihian ng isang buntis ay ganoon din ang magiging hitsura ng sanggol.”(妊婦が食べたがる物に赤ちゃんが似る)と言われ、シンカマスを食べれば色白の赤ちゃん、アドボやチョコレートを食べると色黒の赤ちゃんが産まれると言われます。また食べ物だけでなく、いつも見ていた芸能人に似た赤ちゃんが産まれるとも言われます。
赤ちゃんが産まれたら、出ベソにならないよう、お腹にbigkis(ビッキス)という腹帯を巻く習慣があります。また、外から来る訪問客は不幸や病気を持ちこむとされ、訪問客は自分のツバを指につけ、 “pwera usog”(プエラ・ウソッグ「呪いよけ」)と言って赤ちゃんのおでこにつけなければならない、という変わった習慣があります。また産婦は産後7日~10日水浴びしてはいけない、とされます。暑い国で7日も入浴しないのは辛いものですが、体力の消耗を心配してのことでしょう。入浴禁止なほどですから、家事ももちろん禁止。産婦は自宅で十分休み、家族が家事をするのが当然という環境があるのは、恵まれていると思います。
葬儀に関する迷信
フィリピンではお通夜が何日間も続きますが、その間電灯を消してはいけない、棺桶に蓋をしてはいけない、床を箒で掃いてはいけない、玄関の扉を閉めてはいけない、と様々なタブーがあります。また弔問客に「ありがとう」と言ってはいけない、お見送りしてはいけない、とも言います。フィリピンの葬儀は一般的に賑やかです。これは遺族の気持ちが紛れるように、という思いやりから来ているそうです。
水浴びに関する迷信
水浴びについても多くの迷信があります。「夜髪を乾かさずに寝てはいけない」など、一般に朝の入浴は良いが夜は良くないとされています。筆者も夜シャワーを浴びて驚かれたことがありますが「お湯だから大丈夫」と言えば、前例がないためか、「そうか」と納得されました。
また “Mapapasma ang isang tao kapag naligo agad matapos mapagod”(疲れた時すぐに水浴びをするとパスマになる) “Mapapasma ang isang tao kapag humawak ng tubig pagkatapos mamalantsa” (アイロンをかけた後に水に触るとパスマになる)と言われます。この「パスマ」とは手の震える症状のことで、医学的な根拠はないのですが、フィリピンの人たちの生活や行動に影響を与えている考え方です。「メイドがアイロンをかけた日は炊事しない」「せっかく工場にシャワー室を作ったのに、誰も使わない」という声を聞くことがありますが、実はこういう背景があるのです。
こういった迷信について知ると、フィリピンの人たちの行動や考え方の奥にあるものの理解に繋がります。皆さんも周りの人に、タブーやジンクスについて聞いてみてはいかがでしょうか。きっと面白い話が聞けることでしょう。
文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。 |