Filipino World 第24回
Bilang 数の数え方
みなさんこんにちは! Kumusta kayo?
フィリピンでは子供のころから算数や理科は英語で学ぶので、自然と数字は英語が使われることが多いですのですが、タガログ語やスペイン語に由来する数字もよく使われます。
1.タガログ語由来の数字
タガログ語をはじめ、フィリピン諸語はマレー・ポリネシア語派の言葉です。そのため数字はマレー語、インドネシア語とよく似ていてlima(リマ=5)などは全く同じです。北は台湾の先住民族タオ族やアミ族の数字もフィリピン諸語とそっくりで、文化的なつながりが感じられます。
タガログ語由来の数字は物を数える時などに使われます。isang piraso (イサン・ピラソ=「1個」) dalawang ticket (ダラワン・ティケット=「チケット2枚」)limang pirasong tinapay(リマン・ピラソン・ティナパイ=「5個のパン」)のように言葉を繋ぐリンカーである-ng(ン)を付けて使います。Apat(アパット=4)のように子音で終わる数字の場合のリンカーは-ngではなくnaを使うのでapat na tao(アパット・ナ・タオ=「4人」のように使います。但し人数にはいつもtao(人)をつけるというわけではありません。例えばレストランなどで、「一人だけ」と言う場合は「イサ・ラン(isa lang)」と言えば通じますし、「8人」という時は「ワロ(walo)」と言うだけで通じます。
このように短い数字だとタガログ語は簡単ですが、長い数字になると言いにくくなります。たとえば65,432をフィリピン語で言うと、animnapu’t limang libo, apat na raan at tatlumpu’t dalawa (アニム・ナ・プット・リマン・リボ、アパット・ナ・ラアン・アット・タトルンプット・ダラワ)と、まるで「寿限無寿限無五劫のすりきれ…」のよう。そこで大きな数字は英語で簡略に済ます傾向があります。
2.スペイン語由来の数字
スペインの植民地だったフィリピンでは、スペイン語の数字も使われます。但し綴りや発音はフィリピン式です。特に良く使われるのは、bente(ベンテ=20)やsingkwenta (シンクエンタ=50)など、お札に使う数字や25センタボコインのbente singko(ベンテシンコ=25)など。またバスやLRTの料金等も12ペソなら「ドセ」(dose)、15ペソなら「キンセ」(kinse)と言われることが多いです。
また、毎時ちょうどの時間の呼び方はAla Una (アラ・ウナ=1時)、Alas Otso (アラス・オチョ=8時)などスペイン語由来の呼び方が使われます。つまりその時々で使いやすい物を使うということでしょう。
3.数字を使った慣用句
“Mabilis pa sa alas-kwatro”「 4時より速く」
物事があっという間に終わってしまうこと、人が急いで立ち去ることを表現した言い方です。これは昔マニラにあった工場が4時終業のサイレンを鳴らしたことに由来するそうで、「4時前に大急ぎで帰ってしまう」ことから来ているそうです。4時とは全然関係ない時間なのに「あの人が来たけど4時より素速く帰って行ったよ」などと言います。
“Abutin ka ng siyam-siyam”「シヤム・シヤム(9-9)になってしまう」
こちらは逆に、なかなか物事が終わらなく、永久に続きそうな時に使う表現です。シヤム・シヤムとは実は9日9晩のこと。モンスーンの長雨が9日9晩降り続くことだそうだそうです。確かにあまりにも物事が長くかかりすぎる時はモンスーンの長雨みたいな気分になりますね。
このようにフィリピンではタガログ語由来の数字、スペイン語由来の数字、英語の数字がミックスして使われます。最初は様々な数字を覚えるのが大変ですが、こんなところにもフィリピンの多彩なハロハロ文化が表れているのです。
文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。
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