Filipino World
第35回
Filipino Gestures
ジェスチャー
フィリピン語 アレ・コレ
みなさんこんにちは!Kumusta kayo? 所変わればジェスチャーにも様々な違いがあるものですが、フィリピンにも多くのユニークなジェスチャーがあります。今回はそんなジェスチャーのあれこれを見ていきましょう。
1. 眉が決め手
眉が決め手といっても、お化粧の話ではありません。フィリピン人は挨拶の言葉を交わすかわりに眉を上げるのです。同時に少し顎も上げる場合もあります。また日本人は「はい」と答える時に頭を少し下げますが、フィリピン人は逆で、眉を上げて少し顎を上げるのが「はい」の意味になります。片側の眉だけを上げることもあります。ただし、このように眉を上げたり、顎を上げたりすると、日本では逆に失礼に思われることがあるので、フィリピンに慣れてしまった日本人は、日本に帰った時にこの動作が出ないように気を付けないといけませんね。
2. ひょっとこ口
フィリピン人は人に道を教える時、指で指すかわりに、ひょっとこのように唇を突き出し、右か左を唇で指すことがよくあります。「あっち」はフィリピン語で “Doon”(ドオン)と言うので、「ドゥーン」
などと言いながら唇を突き出している様子もよく見かけます。唇を突き出していても別にキスを迫っているわけではないので、ご心配無く。
3. 唇を突き出して「チュッ」
道を歩いていると、いきなり誰かが唇を突き出して「チュッ」とか「チュチュ―ッ」と音を立てることがあります。これはフィリピン人が他の人の注意を引くときの合図です。例えば、走っているトライシクルを呼んで乗ろうとしたり、物売りからたばこを買おうとする時などです。
4. 歯の間から「プスッ」
シッシッと野犬などを追い払うときのような感じで歯の間から「ツッ」とか「プスッ!」と息を強く出して音を立てることがあります。これは道の向こう側などにいる知り合いを振り向かせたり、あるいは上記と同様にトライシクルやタクシーを呼ぼうとしている場合もあります。何か落ちたよ、と教えてくれている場合もありますが、最近は落ちたよ、と気を引いてその間に物を取るなんてこともありますから、「プスッ」とやられてもあまり気にしない方がいいかもしれません。いずれにしても上記の2から4はフィリピンでも教養のある人はあまり使わないジェスチャーとされています。
5. 机を3回ノック
話しながら机をノックするのは、厄落としのような意味があります。つまり「万一地震や火災が起こったら」のように、なにか災難などについて話そうとするとき、このように机をノックしながら話せば、実際にはそのような災難が起こらない、と信じられているのです。
6. 手を取って額にあてる
祖父母やニノン、ニナン(名付け親)など、年配の方や目上の人に出会った時、右手を取って額にあてるのは「マノ」と言って尊敬を示す表現です。右手の甲を子供やイナアナック(名づけ子)の額にあててあげることで、目上の人からは、その子を祝福してあげる意味があります。「マノ」はスペイン語の「手」という意味ですが、インドネシアやマレーシアにも「Salim(サリム)」という同じ習慣があるため、スペイン人がフィリピンに渡来する前からあった習慣だろうと言われています。
7.エアー四角
レストランなどで空中に指で四角を作ったり描いたりするのは、お勘定お願いします、の意味。フィリピンは日本と違って座席に請求書が持ってこられ、座ったままでお勘定を済ませてから店を出ます。お勘定書を頼む時指で四角を作るのは、たとえ高級レストランでもホテルのカフェでも失礼にはあたりませんので、安心して使えます。ただ日本でもついつい四角を作ってしまう、なんてことのないよう気を付けましょう。
文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。