Filipino World
第31回
Jeepney
ジープニー
フィリピン語 アレ・コレ
みなさんこんにちは!Kumusta kayo? 好きな所で乗り、好きな所で下りられる庶民の足、ジープニーはフィリピンの代表的な乗り物の一つです。しかし利用するにはハードルが高いと感じる人も多いでしょう。
ジープニーの行先は、フロントガラスにかけてある板で確認します。車体の横には、出発地と行先、経由地等が書いてありますが、ここでわかるのは路線だけなので注意しましょう。手を挙げて合図し、空きがあれば乗ることができます。客席は8人掛け(waluhan)のシートが向い合せにならぶ16人乗りや、少し長めの10人掛け(sampuan)20人乗り等があります。20センチでも隙間が空いているとそれは立派な一人分のスペース。譲り合って(時には無理やり)詰めあって座ります。
料金(bayad)は初乗りが9~10ペソ(2019年6月現在)で、乗る距離により料金が上がっていきます。お金を払うときは “Bayad po”(料金です)と言ってお金を支払うと、乗客がバケツリレー式に運転手さんに渡して、おつりも同様に手渡しで戻ってきます。長距離路線では、この時降りる場所も伝えます。誰かがお金を払うと、みんなが次々と払いはじめるので、運転しながら、お金を受け取り、お札を指の間に挟んで、小銭を取っておつりを渡す様子は、まさにプロの技。でも時々忘れられたり間違ったりすることもあるのはご愛敬です。おつりを忘れられたら、“Manong, wala pa po ang sukli ko.”(おじさん、私のおつりがまだです)と言えば、“Magkanong bigay mo?” (いくら払った?) などと聞き返されることでしょう。おつりが足りない場合は “Kulang po ang sukli ko.”(おつりが不足しています)と伝えます。車掌にあたる人や運転手の家族等が同乗して、料金の受取り作業を行う場合もあります。
ジープの中では、お年寄りや女性に席を譲ってくれたり、手を引いてくれたり、人々の日常の心優しさを見ることも少なくありません。雨が降ったら、窓にかかっているビニールシートを乗客が協力して下ろすこともあります。
目的地まで来たら、 “Para!”(停まってください) “Para sa tabi”(横に寄せて停まってください) “Dyan lang sa kanto”(そこの角で)のように運転手さんに伝えます。聞こえない時は、他の乗客が天井を指ではじいて合図してくれたり “Para daw” (停まれと言ってるよ)と伝えてくれたりします。土地勘が無く、どこで降りればよいかよくわからない時は、運転手さんの隣か真後ろに座り、その場所まで来たら教えてくれるよう頼むと良いでしょう。降りる時には完全に停まってから。ジープニーがまだ動いているのに焦って降りると、慣性の法則でまだ体はジープの走る方向に動いているので危険です。
フィリピン政府は、2020年までに古いジープニーは段階的に廃止し、排出ガス規制基準「ユーロ4」適合車のみ登録許可するという「ジープニー近代化計画」を2017年から実施していますが、ドライバー、オーナー等からの激しい反対を受け、2019年に入ってからは中間選挙に備えてか、主だった動きがありませんでした。選挙の終わった今、ジープニーも世代交代へと向かうのでしょうか。たとえジープニーが代替わりしても、フィリピンの人たちの助け合い精神は変わらずにいてほしいものですね。
文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。