フィリピン・バレエ・シアター(PBT)による「フィリピノ・コミックス(ダルナ)」より 村のフィエスタのシーン(2017年5月) Photo courtesy of Erica Marquez-Jacinto (http://artaturningpointe.blogspot.com/)

フィリピン・バレエ・シアター(PBT)による「フィリピノ・コミックス(ダルナ)」より 村のフィエスタのシーン(2017年5月)
Photo courtesy of Erica Marquez-Jacinto (http://artaturningpointe.blogspot.com/)


フィリピンでバレエを観ると言っても、ピンとこない方も多いだろう。まず、どこで何を観ればいいのかわからないし、バレエのような「高尚な芸術」には縁がないと言う方もいるかもしれない。だが、バレエの舞台は冒険物や恋物語をダンスによって演じていくものか、あるいは古典演目の見どころの抜粋とコンテンポラリーの小作品などを組み合わせてオムニバス的に見せるものが多く、通常、予備知識がなくても楽しめる。
チケットが高価で入手も困難な日本と違い、フィリピンならチケットも安く、500ペソ程度から高くても2000ペソ程度で購入できる。一階席(オーケストラ席)の舞台近くでじっくりと観ることができるのも嬉しい。
クラシカル・バレエと言っても、トゥシューズにチュチュで踊る古典作品ばかりではない。フィリピンの伝統舞踊や伝統音楽、あるいはフィリピンの歴史を描いたオリジナル作品も、きらびやかで、フィリピンの文化理解にももってこいだ。
海外で活躍しているフィリピン人ダンサー達の帰国公演や、外国からのゲスト・ダンサーを迎えた公演もあるので、バレエ・ファンの方はもちろん、観るのは初めて、という方も一度足を運んでみてはいかがだろうか。

Information
フィリピンのバレエ団
マニラには3つのプロのバレエ団が存在する。バレエ・フィリピン(BP)、バレエ・マニラ(BM)、フィリピン・バレエ・シアター(PBT)である。それぞれのバレエ団と、年内の演目を紹介していこう。
バレエ・フィリピン Ballet Philippines(BP)
CCP(フィリピン文化センター)所属カンパニーで、設立は1969年。ネオ・コンテンポラリーや前衛的なバレエに力を入れているのが特徴。
「ガラ・セレブレーション」(8月18日から20日)
海外で活躍するBP出身のバレエ・ダンサー達が帰国、フィリピン・オリジナルのダンスやクラシカル・バレエ「ライモンダ」の一部など。BPの最初の芸術監督アリス・レイエスの再就任記念公演。
「ザ・エグゼンプラーズ」(10月20日から22日)
1970年代から80年代のバレエ・フィリピンのオリジナル作品を集めた公演。
バレエ・マニラ Ballet Manila(BM)
1980年代に旧ソ連のキーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)のプリマになったことで知られるリサ・マクハ・エリザルデが主宰。劇場はCCPの隣のスターシティー内のアリウ・シアター。
「イーボン・アダルナ」(8月26日~27日、9月2日~3日)
15世紀に書かれたフィリピンの不思議な鳥にまつわる冒険物語
「白鳥の湖」(10月7日~8日、14日~15日)
白鳥の姫と王子の悲恋を描くバレエの名作。
「白雪姫」(11月25日~26日、12月2日~3日)
ディズニーでも人気の物語を、オリジナルの振付でバレエ化。
フィリピン・バレエ・シアターPhilippine Ballet Theater(PBT)
BPと同様に、CCPの所属カンパニーとして、年に3回CCPで公演を行っている。1970年代から80年代にかけてマニラに散在した小規模のバレエ団が集まり、エドサ革命後の1986年に創立。オリジナル作品の他、古典作品に力を入れている。
「メリー・ウィドウ」(9月)
フランツ・レハール作曲のオペレッタをベースにしたコメディ。