全面禁煙スタート。喫煙場所は?
日本では2020年の東京オリンピックを前に屋内全面禁煙に関する法案の提出が取りざたされているが、ここフィリピンは一足早く7月23日発効の大統領令をもって全面禁煙に突入した。オフィスやレストランなどの屋内はもちろんショッピングモールや観光施設の屋外に設置されていた灰皿も撤去された。
禁煙は時代の趨勢であり、その実現が望ましいことは明らかだがあまりにドラスティックな展開には少々戸惑いを覚える。この行政命令はすべての公共の場所での喫煙を禁止するものだが、同時に喫煙場所の指定も示している。ただその規定が非常に厳しく発効から1ヶ月が過ぎようとする現在も街で喫煙場所を見つけることは難しい。そんな中、飲食店関係者から漏れ聞こえてくるのは“様子見”という言葉。厳しい設置規定だけではなく罰金に営業許可の取り消しという罰則が事業者に重くのしかかっている。もちろん各事業者が管轄の自治体に許可申請を行えば喫煙場所の設置は可能だが、設置面積や緩衝ゾーン、独立した換気システムなど複雑な規定に対し行政指導は果たして行き届いているのだろうか?
ドゥテルテ大統領が一掃を掲げるドラッグよりも依存性が高いともいわれるタバコの全面禁煙が順守されるためには適正な喫煙場所の設置は不可欠だ。むろん依存症治療を試みる人には医療補助などの制度設定がなされるのが望ましい。
著しい経済成長を下支えするフィリピンの人々、ビジネスや観光で訪れた諸外国の人々。その中の喫煙者たちが為すすべもなく受難の日々を過ごす結果にならないことを期待したい。