を求めて
北の町 バギオ から
バギオ市やお隣のラ・トリニダード町は野菜の一大産地として知られるが、卸売市場に集まってくる野菜は、おもにラ・トリニダード町から山に入ったベンゲット州の村々で栽培されたもの。ベンゲット州では、戦後、長い間、化学農法で野菜栽培を拡大してきた。卸売市場からは、毎日大型トラックで大量の野菜がマニラに向けて出荷されているが、もちろん中心は、効率的な化学農法による見ためのいい野菜たちだ。
栽培地拡張に伴って使用量を増やしていった農薬でもっとも大きな健康被害を受けてきたのは、当の野菜農家の人たちだった。「このままではまずい」と、2005年、トリニダード町の野菜の栽培農家の有志たちが「LA TOP(ラ・トップ=La Trinidad Organic Practitioners)」を設立し、有機農法の技術習得とオーガニック野菜のマーケット開拓を始めた。LA TOPの創始メンバーたちは、自らの農園を開放し、堆肥づくりトレーニングなどを行い、また、安全で新鮮でおいしいオーガニック・レタスによるサラダの試食会などを催して、オーガニック野菜のプロモーションに努めた。また、バギオ市内の高級レストランの敷地で週末にオーガニック朝市を開催するなどして、消費者の関心を集めていった。
そんな地道な活動が少しずつ浸透し、この10年間でオーガニック野菜の栽培はどんどん広まってきた。山岳地方のさまざまな自治体に、いまや50以上のオーガニック野菜の農家団体があり、ベンゲット州だけでも3,000人以上のオーガニック農家がいる。サラダ用のロメインなどのレタスやハーブ類からからスタートしたオーガニック野菜の品目も増え、ほうれん草、キャベツ、ニンジン、ブロッコリー、カリフラワー、大根、ジャガイモ、インゲン、さやえんどう、トマトなどなど、一般家庭で使われる野菜はほとんどオーガニックでそろうようになった。また、コーヒーやハーブ・ティー、さらには野菜を使ったジャムやワインなどのオーガニック生産物の加工品も次々と農家の工夫で登場している。
もし、バギオを訪問する機会があったら、これらフレッシュで本物のオーガニック野菜や加工品こそが、なによりのおみやげ品といえるかもしれない。LA TOPはトリニダードとバギオの市場に常設のショップを構えているほか、SMやC & AAA 、そしてバギオ市役所近くのアバナオ通りで毎週水曜と土曜に開かれるオーガニック商品ブースでも購入可能。LA TOP以外では、カソリックのシスターたちが運営する「Mountain Grown Natural Food」がバギオ・カテドラル前の駐車場一角にあって加工品などの品ぞろえも豊富。
さらにディープに探求したいという人には、ラ・トリニダード町のはずれにあるリリー・オブ・ザ・バレー・オーガニック・ファームやAmbclao Rd.を20分ほど行った、コスミック・ファームなど一般公開しているオーガニック農園の訪問もおすすめだ。
Lily of the Valley Organic Farms MC-075 Sitio Ampasit, Puguis, La Trinidad, Benguet TEL:09206858281/09212170430 Jefferson & Lisa Laruan HP:lilyofthevalley-organicfarms.webs.com FB:www.facebook.com/LOVorganicfarm Cosmic Farm: Caban, Beckel, La Trinidad, Benguet TEL:09104521031 Rogel Marzan FB: https://web.facebook.com/CosmicFarmPhilippines/