イロコス・ノルテ州で出会った
生産者への愛が詰まったモリンガ農園
Moringa: ‘The Miracle Tree’ is Believed to Boost Natural Beauty and Health.
Visiting Moringa Garden in Ilocos Norte finds ‘Ambitious’ Women with Love for Work.
モリンガ、またの名を「奇跡の木」。この言葉を耳にしたことはありますか? フィリピンに住んでいると、フィリピン料理「ティノーラ」(チキンスープ)に使う「マルンガイMalunggay」という名の木の葉っぱを目にしたことがあるかもしれません。このマルンガイの通称がモリンガなのです。
アフリカや東南アジアなどの熱帯、亜熱帯地方に生息する植物であるモリンガは、その栄養価の高さと生命力の高さから、国連・世界食糧計画(WFP)も注目している植物です。紀元前2500年ほどからインドの伝承医学アーユルヴェーダでも健康や美容のための生薬として利用されていたと言われています。フィリピンでも古くから人々の生活に根付き、様々な料理に使われてきました。
近年では、アメリカのセレブがモリンガをスーパーフードとして発信し始め、人気を集めています。それもそのはず。モリンガにはなんと90種類を超える栄養素がバランスよく含まれているのです! 他にも成長が早いことや、二酸化炭素(CO2)の吸収量も一般的な木に比べて20倍もあり環境にも優しいという点から、貧困地域の飢餓救済のために国連も注目しているほどの「奇跡の木」なのです。
女性にとって気になる美容効果も注目のポイント。モリンガに含まれるビタミンAやDはお肌のターンオーバー(生まれ変わり)を促進させ、ポリフェノールなどの抗酸化物質がデトックスとアンチエイジング効果によって、シミやシワといった肌の老化を防ぐとともに肌トラブルの予防が期待できるといわれています。
そんなモリンガの健康・美容効果にいち早く着目して、フェアトレードのモリンガ製品を日本で販売する社会企業を始めた女性がいます。Girls, be Ambitious(以下GBA)の代表である番匠麻樹さんです。
2010年からフィリピンで青年海外協力隊として活動していた時に、
風邪や糖尿病などのあらゆる病気の改善が期待できるハーブとしてモリンガに出会い、ご自身がダイエットと体調改善に成功した経験から、モリンガを通してフィリピンの良さを日本に伝えようと起業を決意したそうです。
「これからの時代は内と外からトータルにケアすることが、本当の“美”や“健康”につながると思い、モリンガ製品(ハーブティーなど)に加え、モリンガオイルの化粧品も扱うようになりました。Girls, be Ambitious(女性よ、大志を抱け)の名の通り、すべての人がフェアな環境で “志を持って生きる” ことをサポートするべく、イロコス・ノルテ州のモリンガ農園と直接契約し、製品に関わる全ての人が幸せになれるようなオーガニック、そしてフェアトレードにこだわった製品をつくっています」
今年の7月に、私はイロコス・ノルテ州にあるモリンガ農園でお話を聞く機会を得ました。
農園は小高い丘の上に見渡す限り一面に緑が広がる自然豊かな大地にあります。
「ここで働く女性たちは、みんな生き生きしているの」。そう話す現地マネジャーのユニスさん。自身もとてもパワフルで笑顔の絶えない働く女性の一人です。
モリンガ農家の朝は早く、収穫や仕分け作業など力仕事も多いですが、農園で働く農家の女性たちは終業時間の午後5時まで疲れた様子は見せず、むしろすべての作業を楽しんで1日を過ごしていました。「会社の働き手への愛」が生産現場の皆さんの活力やチームワークの良さにつながっていると、ユニスさんは笑顔で語ってくれました。
人々の美容と健康への貢献に誇りを持ち、女性が安心して働ける。そんな想いのこもった生産現場がここイロコス・ノルテに存在し、笑顔の絶やさない人々が集まっていました。より多くの「本当の美」を届けるため、今日も彼女たちは愛を込めてモリンガを育てています。
「お肌をきれいにしたい」、「健康な食生活を送りたい」。そんな日頃の望みを叶えるGBA製品の普段は見えない「生産者」や「地球環境」にまで配慮した”全てにおいてフェア”であることを貫く姿勢に触れることができた、貴重な訪問となりました。
(Cordillera Green Network インターン 北川 美乃里)