みなさんこんにちは! Kumusta kayo?   フィリピン語には「小辞」と呼ばれる副詞がいくつかあり、 “lang”(ラン)もそのうちの一つです。「小辞」には「まだ」を意味するpaや「もう」を意味するnaなどがありますが、これらの小辞が組み合わさると、さらに別のニュアンスが生まれます。しかし使い方はある程度決まっているので、一度覚えてしまうと簡単です。
lang
langは「~だけ」「~のみ」という意味です。本来はlamang(ラマン)という言葉ですが、省略されたlangの方がよく使われます。

一つ・一人だけ、ならisa lang(イサ・ラン)、あなただけ、ならikaw lang(イカウ・ラン)ですね。Ikaw langと言えば、マニラ発日本行きの飛行機が出発する直前、「イカウ・ラン・マハル・コ(君だけ愛してる)」などと出発直前まで携帯で何度も大声で言っている日本人男性を見かけたことがあります。ちなみに文法的には “ikaw lang ang mahal ko”(イカウ・ラン・アン・マハル・コ「愛しているのは君だけだ」)と “ang”を入れてほしいところなんですね。機内で愛を叫ぶのはどうかと思いますが、間違いを恐れずに使ってみるのは、上達の秘訣ではあります。
lang には「ちょっと~」というようなニュアンスもあり、ジープニーに乗って横に寄せて停めてほしい時など “Tabi lang(ちょっと寄せてください。)” “D’yan lang po sa tabi.(ちょっとその横に停めてください)”と言う言い方をしたり、 “Saan ka pupunta?”(おでかけですか?どちらまで?)と言われた時 “D’yan lang,”(ちょっとそこまで)と返したりする時にもつかいます。
pa lang
paそのものは、「まだ」という意味です。ここにlangがくっつくと、「まだ~だけ」「まだ~しかない」となります。たとえば渋滞がひどくて「まだエドサまでしか来てないよ」という場合は “EDSA pa lang ako”(エドサ・パ・ラン・アコ)と言います。またみんなでこの時間に集合する予定なのに「まだ私だけしかいない」という場合も “ako pa lang”(アコ・パ・ラン)のように使います。“Papunta ka pa lang, pabalik na ako”という表現がありますが、「あなたはまだ行く途中だが私はもう戻る途中だ」つまり「あなたはまだ若くて経験不足だ」ということを年長者が言う時に使う表現です。
na lang
naもよく聞く小辞の一つです。基本の意味は「もう」「既に」。しかしna langと二つの小辞をくっつけた場合は「~でいいよ」「~にしましょう」という意味になります。たとえば「ランチに何を食べましょうか」と聞いた時「ジョリビー・ナ・ラン」と言えば「ジョリビーでいいよ」という意味になります。 “Kahit ano na lang”(カヒット・アノ・ナ・ラン)と言えば、「なんでもいいよ」という意味です。“Ganito na lang(ガニト・ナ・ラン)”も何かを提案する時よく使われる表現です。ganitoは「こういう風」なので「こうしましょう。」という意味です。 “Ako na lang”と言えば、「私がやりましょう」という意味になります。
それでは
hangang dito
na lang.
(ハンガン・ディト・ナ・ラン)
今回はここまで。また次回をお楽しみに。

文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。