Filipino World フィリピノ・ワールド 第3回

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2017年3月19日

Hiya 「ヒヤ」
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“Huwag na, nakakahiya…”


___みなさん、こんにちは!Kumusta kayo?  前回「カイン・ターヨ(食べましょう)」と言われても、フィリピン人が何度も誘われなければ食べ始めようとしない、というお話しをしましたが、それも「ヒヤ」のためなんです。「ヒヤ」は「恥」と訳され、「恩義」や「面子」という意味も含まれますが、この場合は「遠慮」という意味になります。
___昔、夫の会社で中華料理店を借り切ってクリスマスパーティーをしたことがあります。ワーカーさんの中には、赤い絨毯に土足では上がれないと、サンダルを脱いで上がった人もいました。さて料理が運ばれてきたものの、「ナカカヒヤ(恥ずかしい)」と遠慮して誰も食べようとしないんです。カラオケも終わり、さあ会もおひらき、という時、お持ち帰り用に入れ物を出してもらうと、みんな残り物を詰め始めました。「家族に持って帰ります」って言うんですが、きっとお腹が空いているでしょうから、後から自分も食べたことでしょうね。それ以来、夫の会社のクリスマス会はワーカーさんたちが自分達で料理する形式になりました。それなら誰も遠慮せずに楽しめますからね。
___ヒヤを重んじると言っても、給料の前借りとなると堂々と借りに来るのに驚く日本人も少なくないでしょう。新学期前になると、子供の学費に充てるため誰かが必ずお金を借りに来る。そこで「ワラン・ヒヤ!(恥知らず)」なんていきまいてはいけません。彼らは「ヒヤ」が無いから借金しに来たのではありません。計画的にお金を貯めることを教わったことが無いだけなのです。給料を前借して生活費にあて、給料から差し引いてもらう、という仕組みはスペイン占領時代から代々引き継がれてきた習慣であるため、それが当然だと思っているのです。
___そんな時、関係をこじらさないためには、最初にルールを決めておくことです。「会社のルールなので」とか「この家のポリシーなので」助けてあげたい気持ちはあるが、できないと伝えたり、もし個人的に援助するなら、その額の一部を与えてしまい、返金は期待しないというのも一手でしょう。ただし、返金するまでは次の借金は都合できないことも明確に。言われるままにお金を貸してしまっては、相手もそれがあたりまえだと思ってしまいますから、貸し借りには充分気を付けましょう。上手にお付き合いしてフィリピンの人々と良い関係を築いていきたいものですね。
◎ Navi Manila Vol.29 より

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