Experience the life of the Ibaroyi tribe
バギオからジプニーで北に約30キロのベンゲット州の小さな村に、イバロイ族の伝統文化の保存と継承を目的とした宿泊施設スバニーズ・アボン・ヘリテージ・ホーム(以下アボン)がある。
イバロイ族はバギオのあるベンゲット州に暮らす山岳民族のひとつ。実は、バギオもアメリカ政府によって夏の保養地として開発される前までは、カファグワイ(Kafagway)と呼ばれるイバロイ族の小さな集落だった。フィリピン人はラテン気質で陽気な人が多い中、イバロイ族は寡黙で実直な性格と言われている。
バギオ博物館(Baguio Museum)、セント・ルイス大学内のSLU博物館、フィリピン大学バギオ校内のコーディリエラ博物館Museo Kordilyera、ベンカブ美術館内コーディリエラ・ギャラリーは、いずれも山岳地方先住民族の伝統の暮らしを紹介する展示があるが、実際にその暮らしを体験できる施設はない。山岳地方の景勝地であり世界遺産の棚田で有名なバナウェ、スリリングな洞窟探検で人気のサガダまで足を延ばせば、先住民族の暮らしを垣間見ることもできるが、バギオから6~9時間かかる距離にありかなり遠い。
アボンがあるカパンガン町ダタカン・バランガイまでは、バギオの市街地から車で2時間弱なので比較的気軽に行くことができる。アボンはイバロイ族の伝統的な家屋に宿泊が可能で、その暮らしを実際に味わうことができるのが最大の魅力だ。木造高床式で伝統的なデザインの家屋は風通しが良く保存状態も良好。使い込まれた木の床やロノと呼ばれる葦で組んだ壁や天井など、昔の家屋の風情をそのまま残し、水回りなどは都会からの観光客が心地よく利用できるようにアレンジされている。バギオの喧騒を逃れてやってきた都会暮らしの人たちが、自然の風を感じ、のんびりと過ごすのに最適な環境だ。
体験できるのは宿泊だけではなく、リクエストに応じて、近隣の田んぼでの農作業(田植え、稲刈りなど季節による)、サツマイモ畑での植え付けや収穫、水牛(カラバオ)を使った伝統的な耕作体験、地域特産のライスワイン作りなどのプログラムも用意してくれる。他ではできない体験なので学生のスタディツアー、家族旅行、グループ旅行でもぜひ参加してみて。
たった1泊の滞在であっても、先住民族の昔ながらのシンプルな暮らしを体験することで、忙しい現代に生きる私たちが忘れていた、大切な何かを思い出させてくれる貴重な時間を過ごすことができるだろう。
(環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク インターン 吉村瞭)
Suvani’s Avong Heritage Home
住所:Sitio Bantayan, Datakan, Kapangan, Benguet Province
TEL: +63-9070279920
アクセス:バギオ市内のダングワ・バスターミナルよりカパンガン行きのジプニーに乗車し、運転手にアボン行くと伝えるのが確実。運賃は50P程度。
宿泊費:素泊まり一泊、250P/人。食事は一食120〜150P/人(要予約)
体験プログラムはは1グループにつき1,000P〜4,000P程度(要予約)
※TALAゲストハウスでは宿泊のお客様を対象に、アボンでの宿泊、体験プログラム、レンタカー手配のお手伝いしています。tala.guesthouse@gmail.comまで。