プト(puto)
フィリピンも日本と同じ米食の国ですから、米やもち米を使った餅菓子は数多くありますが、その中で最も代表的なのがプト。米粉(上新粉)にココナッツミルクと砂糖を入れ、重曹を入れて蒸したプトは日本人にとってなぜか懐かしい感じがするシンプルな蒸しパンです。朝食としてそのまま、またはココナッツの実をひいたものと一緒に食べる他、豚の血を酢で煮込んだ料理ディヌグアン(dinuguan)にも添えられます。白いものやカラフルに色を付けたもの、そのほかにアチュエテ(アナト)の種で着色したものや、ウベ(ベニヤマイモ)を使った紫色のプト、パンダン(タコノキ)の葉で香りをつけたものもあります。プトはGoldilocksなどのベーカリーでも買えますし、スーパーでもプト用にミックスされた粉を買って家庭でも簡単に作ることができますが、小麦粉を配合したものより米の粉だけを使ったものの方がおいしいそうです。
餅菓子を総称して本来kakanin(カカニン)と呼びますが、「プト」が餅菓子の総称として使われることもあります。例えば、クリスマスが近づくとウベを混ぜた紫色のプトを竹筒に入れて蒸したものが教会の外などで売られますが、こちらは調理の時の音からputo bumbong (プト・ブンボン)と呼ばれます。実際に食べてみると、一般的にプトと呼ばれる蒸しパンとは全然違う物で、もっちりとした食感です。
クチンタ(kutsinta)
プトと並ぶ朝食の餅菓子の定番がこのクチンタです。プトを売っている店では大概クチンタも売っており、朝食にもセットで出てきます。ただし上記ディヌグアンにクチンタは合わないようで、一緒に添えられるのはプトだけです。クチンタは米粉(上新粉)と、もち米から作った白玉粉を同量で使い、ブラウンシュガーで甘味を、アチュエテ(アナト)の種で香りと色を着けて蒸したもの。かんすいを使用しているので、ういろうのようなモチモチした食感です。通常はココナッツの実をひいたものをかけて食べます。クチンタという名称は中国の福建語の”kueh tsin tao”から来たという説があり、9世紀ごろにフィリピンと貿易をしていた中国の商人が持ちこんだのではと言われます。”kueh”とは一口サイズの蒸した餅菓子のことで、マレーシア、シンガポール、ベトナム、タイ、インドにも各種の”kueh”があるようです。同様にプトも”kueh puto”と呼ばれ、のちにプトと呼ばれるようになったようです。(悦)
マニラ近郊の プトとクチンタの人気店 Rocha’s Delicious Puto at Kutsinta Aling Remy’s Puto and Kutsinta since 1930 Michelle’s Putong Ube |