山岳地方の小さな農村の被害実態
9月15日未明フィリピン・ルソン島北部に台風オンポン(フィリピン名)が上陸しました。2013年にフィリピンを襲った台風ヨランダ(フィリピン名)では、レイテ島を中心に高潮によるたくさんの犠牲者を出しましたが、今回の台風もその時の警報シグナルと同じシグナル4がルソン島の全ての州に警告されました。いわゆるスーパー台風と呼ばれる規模の台風でした。
今回の台風で最も被害が出たのは、鉱山地帯であるベンゲット州イトゴン町。イトゴン町の死者数は94人、行方不明者6人(9月30日時点)にのぼっています。鉱山地帯は、鉱山開発の影響により他に比べて地盤が弱く、土砂崩れが起きやすい地域です。台風上陸の前日から避難警告が出ていたにもかかわらず、多くの人たちの命が失われたことが悔やまれます。
イトゴンを含むベンゲット州には台風被害直後は、様々な地域から支援物資が届き、またボランティア派遣などの動きがありました。しかし、それらのサポートは、被害状況の様子がテレビやSNSに取り上げられた場所に集中していたように思われます。
先日、バギオ市の環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」のコーヒーの栽培事業地である農村に、被害状況の視察に行かせていただきました。視察を通して改めて、現場に行かないとわからないニーズがあるということを痛感しました。
視察に行った村は、バギオからの公共交通機関が1日1本しかないという村です。村のメインの農産物はサヨテ(はやとうり)ですが、台風の強風ですべて吹き飛ばされ、乾燥し茶色くなった蔓がゆらゆらと揺れて残っているだけでした。もう一度サヨテを栽培するとなると、収穫できるようになるまで6〜7ヶ月の月日がかかります。つまり、半年間の収入が見込めないということです。そこで、彼らは早急に畑を耕し、成長の早い野菜の種をまいて育てたいとのことでした。
また、その村では田んぼを営んでいないため主食であるお米を買う必要があります。しかし、そのお米でさえ借金をして購入している状況です。また、サヨテの下で栽培しているコーヒーの木も根元から折れてしまっていたり、未熟なコーヒーチェリーが地面に落ちてしまったりと多くの被害が見受けられました。
バギオで目にする ニュースからは得られない情報が、現地に足を運んだ視察では多く得られます。CGNでは、できる限り山岳地方の農家さんが置かれているリアルな状況を発信し、力になりたいといってくださる方との橋渡しをしています。
なかなかメディアに声が届かない、小さな村の小さな農家の人たちの農業復興義援金を受け付けています。義援金の使い道としては以下のような内容を予定しています。
・コーヒーの木の折れた枝や幹を手入れするための剪定バサミ・ノコギリの支給
・破損した苗場や野菜・花栽培用の日除けネット支給
・農作物の植え替えのための種と肥料の支給
・被害を受けた農園での作業をサポートするコミュニティ・ワークのための食料
ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
[お振込み先]
Bank of the Philippine Islands(BPI)
Baguio Session Road Branch (0057)
Account Number: 0573-3058-76
Cordillera Green Network Inc. Scholarship Fund
[連絡&問い合わせ先]
<CGNフィリピン・オフィス>
担当:反町眞理子 / 古城日向子
#25 J. Felipe Street, Gibraltar,
Baguio City, 2600, Philippines
Tel: +63 (074) 423-0839
Mail: cordigreen@gmail.com
(シェア&ゲストハウスTALA, コーディリエラ・グリーン・ネットワーク インターン 古城日向子)