いきなり旅行記
フィリピンの観光名所を初めて訪れた 記者が思うままに旅を綴る。

 

マニラにいながら異文化体験 ハラル料理を味わう

Muslim Experience in Quiapo, Manila
Enjoy Maranao Halal Food

バナナの葉に包まれたパテル。見た目はマレーシアやシンガポールなどにあるナシレマにそっくり

 

 6月5日は、イスラム教の断食月ラマダン明けの祝日だった。私はイスラム教徒ではなく断食をしてもいなかったのだが、なぜかハラル料理(イスラム法で認められた料理)を食べようと思っていた。そして当日朝、会社の同僚とハラル料理店が多くありそうなマニラ市キアポ地区にあるゴールデンモスクの周辺へ出かけた。
 断食明けを祝うイスラム教徒でにぎわう様子を想像していた。しかし、日の出からすでに数時間経っていたせいか、ハラル料理店で食事をする人たちはちらほらいる程度。タガログ語を話す同僚が地元の人におすすめ店を聞いて教えてもらったのが「ジュナイド・ハラル・レストラン(Junaid Halal Restaurant) 」。ジュナイドという店名はミンダナオ地方出身マラナオ族の店主の名前にちなみ、店ではマラナオ料理を提供する。

 

 

ブディ(左列中央)、ビーフレンダン(中央列下)、バカス・ピナパラン(右列中央)などのマラナオ料理。5人で570ペソと値段はリーズナブル。

 

初めてのマラナオ料理
 入口のショーケースにメニューが並ぶ。ニガウリと卵の炒めやキニラウ、ティラピアの揚げ物などおなじみのフィリピン料理もあれば、珍しいものもある。大きなタラコを思わせる魚の卵ブディ(Budi)、いぶしたキハダマグロをココナツミルクで調理したバカス・ピナパラン(Baka Pinaparan)などは初めて見た。ターメリック(ウコン)を使った料理が多く、私の中ではマラナオ料理=黄色のイメージである。チリもふんだんに使われ、塩味も強く、総じて辛い。ハラルなので豚肉はないが、鶏肉や牛肉の料理はある。牛肉煮込みのビーフレンダン(Beef Rendang)はマレーシアやインドネシアにもある料理であり、イスラム世界のつながりを感じる。このレストランでは素手で食べるのが基本のようだが、頼めばスプーンとフォークも用意してもらえる。

マニラ・ゴールデンモスクの入口で女性はヒジャブをレンタル(30ペソ)し、髪を覆ってから 入場する。

 

 

 

 

What’s your tribe?
 ゴールデンモスク周辺の店では、緑のバナナの葉に包まれたパテル(Pater)というマラナオ料理も売られている。開くとご飯、その上に煮込んだ鶏肉がひとつまみほど載っていて、値段は1個10~12ペソ。ハラル版のおにぎりといったところである。
パテルの店のおばさんから突然、「What’s your tribe?」と聞かれた。この界隈にはマラナオ族以外の部族の人もいて、初対面の人には部族を聞くのがあいさつとなっているのだろうか。私は今まで生きてきて、どの部族かを聞かれたことはなかったのでなんと答えてよいかわからず、「日本人です」と答えた。
 マニラにいながらちょっとディープな異文化体験をしたいなら、ゴールデンモスク界隈はおすすめである。(W)

 

 

オレンジ色の外観が目印のジュナイド・ハラル・レストラン。マニラ・ゴールデンモスクそば。Junaid Halal Restaurant, Elizondo St., Quiapo, Manila

 

ゴールデンモスクの周辺にはムスリムファッションの店も多い。

ムスリムタウンへの門。最寄りのLRTカリエド(Carriedo)駅から徒歩約15分。カリエドは中華街ビノンド(Binondo)の最寄り駅でもある。