コロナ禍の中、フィリピンでは植物、特に観葉植物を育てるのが大人気。「プラントデミック」(Plantdemic)という植物(プラント)とコロナウイルスのパンデミックを掛け合わせた言葉も生まれています。この空前の観葉植物ブームについて、フィリピンで観葉植物の生産・輸出を手がけるユニグリーンの北村一成さんに聞きました。(写真提供:Uni-Green Inc. )
-ロックダウン開始後、フィリピンでは植物を栽培する人が増えたそうですが、実感は?
フィリピンに限らず、当社が輸出している世界各国でも植物栽培の人気が高まっているという現象が見られます。ロックダウン後、フィリピン国内の観葉植物の需要が飛躍的に伸びました。輸出に関しては一時的に完全に止まりましたが、4月下旬には再開し、6月にはほぼ元に戻りました。
外出が制限され、家にこもることが多くなったことが、家庭での植物栽培が人気になった理由だと思います。また、寿命が短い切り花と違い、鉢に植えた観葉植物なら長期に渡って世話をしながら楽しめることも、ロックダウン中の生活に向いているのでしょう。
-観葉植物が注目を集める理由は?
フィリピンで観葉植物が注目を集めるようになったのは、芸能人やマニー・パッキャオの奥さんら有名人がこぞって観葉植物の栽培を始め、SNSに投稿したのがきっかけです。年齢や性別に関係なく、これまで植物栽培をしたことがない人も始めて、ブームになりました。屋内を飾ることが好きなフィリピン人の国民性にも観葉植物は合っています。
-フィリピンで人気の観葉植物は?
今流行しているのは、サンセベリア、フィロデンドロン、アグラオネマなど。丈夫で長持ちする観葉植物が人気です。また、モンステラは昔から人気があり、その造形美はいろいろな分野のデザイナーがモチーフで使うほど。現在モンステラの価格が高騰しているのは、魅力が見直されたこともありますが、一部投機的な人気も理由でしょう。オークションでは、白色のモンステラ一鉢で30万円の値段が付くことも。観葉植物の需要と供給のバランスが悪いうちは、価格の上昇が続くと思いますが、一般の人が買うには高すぎます。いずれフィリピン国内の生産量が増えたら、価格は落ち着くでしょう。
観葉植物の多くは中南米とアジアが原産。市場で売られているのは野生に近いものではありません。原産の植物を親として交配し、掛け合わせた新しい品種が世界各地で作り出されているのです。当社でも国際特許付きの観葉植物を扱っています。
北村 一成(きたむらかずなり)さん
Uni-Green Inc. CEO/ President
フィリピン在住30年。千葉県出身。東海大海洋学部卒。
Uni-Green Inc. (ユニグリーン):1994年7月創業。本社首都圏パラニャーケ市。観葉植物の生産と輸出、フィリピンでの国内販売、日本野菜の生産・卸(グループ企業)。バタンガス州リパ市、ベンゲット州トリニダッド町、ヌエバビスカヤ州に5つの農場があり、観葉植物を欧州各国、 カナダ、アメリカ、日本、韓国、シンガポールなどに輸出。オランダに代理店がある。