by: 蝶谷 正明(セブ日本人会)

 

 

    我が家があるビレッジのゲートを起点とした半径500mの範囲に獣医が3軒、ペットショップが6店あります。いずれも繁盛しているようです。

 

 私が2007年にセブに移住して来た当時は、犬を飼うならブリーダーから買い、ドッグフードの入手や牛や豚ではなく犬を診ることができる獣医探しにも苦労しました。まさに隔世の感があります。その頃はペットを飼うのは富裕層の道楽。庭にゴールデンリトリバーを15匹放し飼い、ちょっとしたプールほどもある池にワニがいる、アロアナが何匹も悠々と泳いでいる、はては天然記念物のメガネザル、ターシャを飼うという日本では想像もおよばぬ異次元の世界でした。

 

 それがここ数年で急激にペットを飼う人の裾野が広がってきました。月収約4万〜5万ぺソのいわゆる中間層の家庭が車を持ち、子どもを私立学校に通わせるほどになると、純血種の犬や猫を飼いたくなるようです。 次のステップは持ち家です。

 

 車と同じく、ペットは購入価格だけでは済みません。残飯を与えるわけにはいかないのでペットフード、予防接種、毛の長い種類を飼えばトリミングにもお金が必要です。おそらく飼い主の人間の散髪よりずっと高いと思います。今、ほとんどのペットショップにはトリマーがいるので、決して富裕層のお得意様だけではないのでしょう。日本の1970、80年代を思い出す風潮です。

 

120cmX50cmX50cmで4,000ペソのオーダーメイド水槽

 

 最近は、熱帯魚の飼育もはやっているようです。水槽やフィルターといった器具は輸入品で日本より割高ですが、熱帯魚用にヒーターが不要なのは助かります。1メートル超の大型水槽を街のガラス店に作ってもらえば、日本よりもかなり安くできますし、サイズも自由に決めることができます。コンクリート建築の家のお陰で水の重量をあまり気にする必要なく大型魚の飼育が楽しめます。縦×横×幅1メートルの水の重さは1トンにもなるので、日本の木造住宅では床の補強が必要となる場合があるのです。

 

 それにしても家の中に人間以外の生き物がいるというのは、精神的にいやされるものです。