7月にフィリピンに来てから3週間目、友人2人がはるばる海外から遊びにきてくれた。現在友人がマレーシアと韓国、私がフィリピンで生活をしているため、会える時に会っておこう!と急遽弾丸でマニラに来てくれたのだ。そして、2年以上ぶりの感動の再会をニノイ・アキノ空港で果たしたのである。

 

 

 

無計画旅行の始まり

 

 

 まず始めに言っておくと、私たちは計画性が皆無で、勢いとノリを頼りに生きてきたタイプである。それは今回の旅行にもいえることで、前日まで旅行内容の話し合いを一切していなかった。ところが1人が突然「ビーチに行きたい」と言い出したため、大急ぎで会社の先輩方に相談。私たちのあまりの無計画さ加減に呆れながらも、日帰りで行きやすいのはマタブンカイビーチだろうということで、前日の夜にバタンガス州行きが決まった。

 

 

 ビーチ日帰り旅行当日、換金したりSIMカードを購入したりと、基本的なことを済ませ、マカティからパサイ市内にあるバスターミナル目指して出発したのだが、この時すでに午前11時近く。ビーチまでは車で2時間半以上かかる。これがバスやトライシクルを乗り継いで行くとなればもっと時間がかかるのは言うまでもない。もうこの時点で私たちの計画性のなさをよくわかっていただけたと思う。

 

 

 バスターミナルでマタブンカイに行けるバスを探していることをバスのスタッフらしき人に言うと、あれに乗れと一言。言われた通り乗ってみたが、実際はそのバスはタガイタイ行きだった。「まったく適当なスタッフだな、でもまあどうにかなるか」と、人のことを言えない適当さ加減で結局バスに揺られること2時間。バス内にいたチケット売りのおじさんに教えてもらった場所で乗り換えのバスを待つためいったん降車した。

 

 

 ところがマタブンカイ行きのバスが来る気配はない。もちろん時刻表なんてものも見当たらず、限られた時間の中であとどのくらい待てばいいのかもわからない。とりあえずダメ元でトライシクルにでも頼んでみるかと、半分悪ノリ感覚で一番近くにいたトライシクルのおじさんに声をかけた。すると予想外なことに軽く二つ返事でOK。こうしてタガイタイからマタブンカイビーチまでの長距離トライシクルドライブが決定した。

 

 

 

 

 

ビーチに到着したものの…

 

 

 バスの後、トライシクルに2時間乗ってようやくビーチに到着したのは午後5時ごろ。無事たどり着けただけでも一安心したいところだったが、本当の旅の洗礼はここからだった。まずビーチ到着直後、「カモ発見」と言わんばかりの視線を四方八方から浴びることとなった。ある意味の大歓迎である。すぐに男の人たちが近寄ってきて強制的にビーチを案内されたのだが、案の定お金を要求してきた。ビーチ入場料と筏(いかだ)レンタル料の2,500ペソを払えという。親切なふりをして近づき、その後お金を要求してくる。旅のお決まりである。筏代はまだしも、入場料なんて存在しないと思うのだが……。外国人女子3人vs.地元男性5人という状況。嫌々ながらも、最終的には安全を買うつもりで交渉し、1,700ペソを謹んでお支払いした。まったく、我ながらいいカモである。

 

 

日没後、地元民と犬しか見当たらないマタブンカイビーチ

 

 

 それから浅瀬を散歩したり筏の上でのんびりしたりした後、夕食を求めて町探索を開始。あちらこちらにいる野良犬に怯え、アクセサリー売りをかわし、薄暗くて観光客のいない町に神経を尖らせながらも、どうにか良さげなレストランを発見した。そこでフィリピン料理とサンミゲルビールを頼んだのだが、おいしい食事とようやく落ち着けた安心感のおかげで、先ほどのぼったくり(というかもはやカツアゲ?)とビビりながらの町探索による疲労感は完全に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

無事帰宅なるか!?

 

 

 帰宅方法ももちろん無計画。「最悪どこかの宿に泊まればいいよね」ぐらいに考えていたのだが、今改めて考えてみると恐ろしい思考回路である。しかし幸運なことに、マタブンカイビーチまで運転してくれたトライシクルのおじさんが待っていてくれて、なんとカビテ州のダスマリニャスまで連れて行ってくれることに。トライシクルってそんな長距離運転し続けて大丈夫なの!? と心配したそばからトライシクルのライトが切れるトラブル発生。見事にフラグを回収してくれたわけだが、この程度のトラブルに焦る私たちではない。「こんなこともあるよね」と笑い飛ばした。その後無事復旧して約2時間のトライシクルドライブを終えた。

 

 

トライシクルのおじさんとなぜか常に同伴していた奥さん。景色を撮りたかっただけだったのに、良い感じのカップルフォトが撮れてしまった。

 

 

 午前0時ごろにダスマリニャス到着後、相変わらずの無計画さ加減で、その場で3人でマカティまでどう帰るか相談していると、見かねた先ほどのトライシクルのおじさんがまたも大活躍。なんとマカティまで運転してくれるバンを見つけてきてくれたのだ!どうやら深夜帯の乗り合いタクシーのようで、着々と乗客が集まって来ていた。女性客も何人かおり、これを逃せば他に手段がない状況だったため、乗車を決意。無事マカティまで戻って来ることができた。もうあのおじさんには感謝しかない。チップも含め、往復のトライシクル代を4,000ペソ近く払ったが、なんならもう少し渡してもよかったぐらいだ。改めて、名も知らぬトライシクルのおじさんにSalamat po。

 

 

 帰宅時刻は午前1時すぎ。計画の大切さと、自身のフィリピン初心者具合を思い知らされた日帰り旅行となった。だが無事帰宅もでき、いい話のネタもできたということで、終わりよければすべてよし。ただこれからはさすがにもう少し下準備をしてから旅行に臨もうと心に決めた。皆さんもご旅行は計画的に。(荒田 玲音)