今から4年ほど前、マカティ市のリトル東京、マカティ・セントラル・スクエア界隈にディープな中国料理店が続々と出現した。その後、コロナ禍で撤退したり、いったい何があったのか市当局からのお達しで閉鎖されたりして、一帯は閑散としていた。しかし、最近新しい中国料理店がオープンし、再びリトル・チャイナタウンの様相を呈して来ている。
店名の由来を尋ねると
そんな中、以前四川料理店があった場所に、ひときわめだち、個人的に店名が気になってしょうがない「ボールドヘッド・バーベキュー」ができた。直訳すれば、はげ頭バーベキューか。今の時代、ポリティカル・コレクトネス的に大丈夫なのか。看板には上半身裸でツルツル頭、串焼きを持ってマーベルコミックの『ウルバリン』のようなポーズの男性が描いてある。
スタッフ全員スキンヘッドなのかもと、妙な期待をして入店すると、迎えてくれたのはチャーミングなフィリピン人女性。ちゃんと髪はある。
店名はオーナーの頭髪の状態にちなむのか聞いてみた。すると、こんなことを聞く客は初めてなのか、あきれるように笑いながら、「オーナーははげていないが、シェフははげている」とのこと。そして、この店は台湾の台北と、中国本土のミックスだと言う。本店が台湾と中国にあるのか聞くと、わからないとの回答。センシティブなことを聞いてしまったのかと思い、ジャーナリストとしての使命感に燃えつつも、それ以上深く聞くことはやめた。
中国語が飛び交う店内
まずビールを注文。サンミゲルもあるが、やはりここは中国のビールであろう。中国人客の中国語が飛び交う中で、羊肉と豚肉の串焼きを食べながら雪花ビールを流し込む。細い鉄串に刺して焼かれた肉はやわらかく、唐辛子などスパイスがまぶされていて、味わいが濃い。ビールが進む進む進む・・・・・・。
マカティ・セントラル・スクエア界隈の中国料理店は、中華街ビノンドやブルゴスよりも店舗数は少ないが、フィリピン人や外国人を対象にしていないようなディープ感がある。私は中国に行ったことはないけれど、ここにくれば中国料理通になった気分で、友だちに紹介したくなってしまうから困ったものだ。台湾や中国大陸にいたことがある在住邦人の方に、ぜひマカティ・チャイナタウンの料理の「本物度」を検証していただきたいと思う(T)