マニラに暮らしていて日本が恋しくなる時。私にとって、それはイチゴを食べる時です。そんな私がフィリピンでおいしいイチゴとの出会いを求めて出かけたのは、ルソン地方北部ベンゲット州ラトリニダッド。バギオの隣に位置するストロベリーキャピタルと呼ばれるこの街で行われた「ストロベリーフェスティバル2023」をレポートします!

 

 

イチゴと伝統ダンス   ラトリニダッドの誇りが融合

 

 

 毎年3月に行われるストロベリーフェスティバルは、名産のイチゴをテーマに約1カ月ほど続くユニークな祭典。中でもメインイベントとされ注目を集めるのが、ドラム・ストリートダンス&スモールフロート・パレードだ。地元の学校やバランガイからのグループが参加、ラトリニダッド市役所前でそれぞれのパフォーマンスを披露し、得点を競う。

 

 印象的だったのが、先住民族伝統のダンス。特に、先住民族の村がコロナ禍に脅かされたところに、イチゴの女神(?)が現れ、イチゴを配って村人たちを回復させるといった、4年ぶりに開催されたフェスティバルならではのパフォーマンスには心惹かれた。地元が誇る名産イチゴと大切に受け継がれている伝統のダンスとの融合は、まさに見ものだった。

 

ストロベリーをテーマにしたコスチュームを着た子どもやフロートが登場したパレード。Covid19とモデルナワクチンが登場。男子の腹には大きなイチゴのペイントも(右下)。

 

 

今年は双子! 巨大イチゴケーキ

 

 

 パレードと並ぶフェスティバルの目玉が、巨大イチゴケーキである。2004年の巨大ケーキがギネス世界記録に「最も大きなストロベリーショートケーキ」として認定されて以降、注目を集めている。今年は新たにラトリニダッドで栽培されるようになったイチゴの品種「スノーホワイトストロベリー」を使った巨大イチゴケーキが登場。通常の赤いイチゴと、珍しい白のイチゴを使った巨大イチゴケーキが並んで展示され、「ツイン・ストロベリーケーキ」として紹介された。

 

 

ジャイアント・ツイン・ストロベリーショートケーキ。当日券が販売され、ケーキが展示されているホールまで入って写真撮影もできた。

 

 

 

 この巨大ケーキは30ペソのチケットで、1スライスを買って食べることができる。長蛇の列ができるほどの人気だったが、食べて納得。スポンジまでたっぷりイチゴの果肉がしっかりと練り込まれ、クリームも甘すぎることなくイチゴの味とバランスがとれている。こんなおいしいケーキが30ペソで食べられることを考えれば、並びたくなるのもわかる。

 

 

フィリピンでイチゴ狩りができる!

 

 

 イチゴ狩りといえば、日本でも家族やカップル、友達と楽しめる人気アトラクションだが、ここラトリニダッドでもできる。農園はラトリニダッド市役所から大通りをまっすぐ約1キロほど北上したところに位置する。歩いて行くこともできるが、ジプニーがたくさん通っているので利用するのもあり。

 

 農園に入った瞬間、ほのかに甘い香りに誘われる。想像していた以上に大きく、おいしそうに熟したイチゴを目の前にすると、イチゴ好きとしては当然テンションが上がる。さっそくイチゴ狩り開始といきたいところだが、心得ておかなくてはいけないことがある。日本のイチゴ狩りとは異なり、摘みたてのイチゴをその場で食べるのは禁止。好きなだけイチゴを摘み、その分を量り売りで購入する方式で、1キロ780ペソ。筆者はそうとは知らず、摘んでそのまま食べて農家の方に注意された。

 

 

筆者らが厳選して摘んだイチゴ。最終的に写真の倍ほどのイチゴを摘んで、マニラに持ち帰った。

 ラトリニダッドのイチゴ農園で栽培されているのは「スイート・ハニー」と「スイート・チャーリー」の2種類。ハニーの方が赤みが強く、一見甘そうに見えるのだが、農家の人に聞くとチャーリーの方がより甘いのだとか。実際食べ比べてみると、確かにチャーリーの方が甘い。人もイチゴも見た目で判断してはいけないと思い知らされる。

 

左の赤色が濃いのが「スイート・ハニー」。右がより甘い「スイート・チャーリー」。

 

 

 ラトリニダッドのイチゴのベストシーズンは、ストロベリーフェスティバルが開催される3月。残念ながら今年のベストシーズンは終了してしまったが、来年1月からまたイチゴ狩りが再開される。

農園入口前に並ぶ売店ではイチゴが手頃な値段で売られている。

 

 

 ラトリニダッドのイチゴのおいしさを一度知ってしまえば、もう日本のイチゴが恋しいなんてことにはならないだろう。皆さんも来年はバギオ観光とセットでラトリニダッドを訪れて、フィリピンのおいしいイチゴとの一期一会、すなわち「イチゴ一会」を楽しんでほしい。(METR)