FIBAバスケットボールW杯がいよいよ本日から開催となる。マニラ・沖縄・ジャカルタ共催の今大会だが、開会式はフィリピン・アリーナで行われ、モール・オブ・アジア・アリーナとアラネタ・コロシアムの2会場が試合会場として使用される。さらに決勝まで勝ち残った強豪たちがモール・オブ・アジアアリーナに集結するということもあって、フィリピンのFIBAへの盛り上がりは国一倍。NLEXが一部封鎖されたり、マニラ首都圏とブラカン州の政府機関と公立学校が休みになるなど、なかなかの力の入れようだ。

 

 

 そもそもフィリピンではバスケ人気が高く、他のスポーツと比べても競技人口が多いことで知られる。実際フィリピンで生活してみると、そこかしこにバスケコートがあることに気が付く。どうしてバスケはフィリピンでそんなに人気なのか? フィリピンとバスケの関係について、FIBA開催記念として、このコラムで少し探ってみたいと思う。

 

 

マニラ最古の旧城壁都市イントラムロス内にもバスケコートがある(Wikimedia Commons CC BY 2.0 Ville Miettinen)

 

 

フィリピンバスケの始まり

 

 

 バスケットボールがフィリピンに伝わったのは1910年。フィリピンは実はアジアで3番目にバスケが伝わった国で、最初は中国で1898年、続いて1908年の日本なんだそう。

 

 

1917年に日本で開催されたファー・イースタン・ゲームズのフィリピン対中国の試合(Wikimedia Commons Public Domain)

 

 フィリピンにバスケが広まった理由は簡単、バスケ発祥の地アメリカの植民地だったから。そしてバスケが広まってから65年後の1975年にフィリピンのプロリーグPBA(Philippine Basketball Association)が設立。これはNBAに続く世界で2番目のプロリーグで、フィリピンバスケの歴史は世界的に見ても長いことが伺える。

 

 

 いまだに他のスポーツよりもバスケ人気が定着している理由としては、他のスポーツと比べて比較的狭いスペースでプレーできること、少人数で楽しめること、素早い試合展開と白熱具合がフィリピン人の気質にあっていたことなど、さまざまな説がある。

 

 

バスケ愛が募りすぎた結果…?

 

 

 フィリピンでバスケが愛されていることを証明するエピソードとして、ギネス記録に挑戦したことが挙げられる。それが2014年に達成された「バスケットボールマラソン」だ。なんと120時間1分7.8秒間バスケの試合をし続けて、世界記録が更新された。1チーム12人、計24人が交代しながら120時間、つまり丸5日間バスケをプレーしたということ。正直なところ「なんのために?」と思わざるを得ない感じもするが、それだけバスケに対する愛が強いと考えれば府にも落ちるかも……?

 

ギネス記録に挑戦中のフィリピン人バスケ選手たち。得点数がすごいことに…(INQUIRER.NET

 

 

『スラムダンク』の浸透

 

 

 バスケが好きならおそらく必ず通る道であろう日本の超有名マンガ・アニメ『スラムダンク』。筆者は少年漫画もバスケもあまり詳しくないので、「諦めたらそこで試合終了ですよ」の名言ぐらいしか知らないのだが、フィリピンで人気のアニメを挙げたらランキングにおそらく食い込んでくるくらい人気がある。

 

 

 以前筆者が住んでいたマレーシアにもアニメ好きな人は多く、『ワンピース』『ドラゴンボール』などの定番どころから、筆者が全く聞いたこともないようなコアなアニメファンもいた。しかしフィリピンほど『スラムダンク』を即座に好きなアニメとして挙げた人はそういなかったように記憶する。プレーやプロの試合観戦だけでなく、バスケのアニメまでくまなく愛するフィリピンは、まさにバスケ大国といえるのではないだろうか。

 

 

 今回のFIBAはわれらが日本もフィリピンも開催国。FIBAのランキングで言えば、周りは格上の国ばかりとなるが、開催国だからこそのパワーを見せつけ、ぜひ日本対フィリピンの試合を決勝会場のモール・オブ・アジア・アリーナで見られることを期待したい。(METR)