カビテ州タガイタイでの2泊3日の現実逃避行を2回にわたってお届け。まずは、人生初のグランピング体験から。
※掲載の情報は11月初旬の取材時点のものです。
コスパよく、手間もかけず自然を楽しむ
普段、旅行といえば、もっぱら海へダイビングやサーフィンに繰り出す筆者だが、今回はマニラから車で約2時間で行ける緑豊かなマウンテンリゾート、タガイタイでグランピングをすることにした。そもそもグランピングというのは、「グラマラスなキャンピング」の略。つまり山や森の中で過ごすキャンプの原型を保ちつつも、面倒なテント張りや火起こし、自炊などの手間を省き、一般にホテルと同様のサービスが用意されたキャンプのこと。あくまで「のんびりすること」が今回の旅行の目的だったため、できる限り何もせずにリラックスするべく、グランピングを選んだというわけだ。
一般にグランピングは費用がかかる豪華なキャンプだが、そこまで予算をかけずにできるだけコスパよく楽しみたい、と思っていた。そこで見つけたのが今回の宿泊先「キャンプ・ヒラヤ・タガイタイ」だった。ティックトックに、たまたま宿泊者の動画が流れてきたのがきっかけだ。
2人部屋のキャビンが1泊1999ペソから。朝食付きで、材料さえ自分たちで調達すればバーベキューなどの調理もできる。部屋もお手洗いも衛生面的に全く問題ない(自然の中なのでもちろん虫は避けられないが…)。そして決め手は何といっても温水プール。冷涼な気候の中で温水プールにつかるのを楽しみに、いざタガイタイに向かったのであった。
何もしない幸せをかみしめて
初日はタガイタイ市内で食事をし、暗くなってきた午後6時頃にのんびりチェックイン。まだたっぷりと時間はあるし、少々疲れていたこともあり、施設キャンプ・ヒラヤ・タガイタイ内を散歩したり、キャビンの中でくつろだりしながら過ごした。
夜8時ごろ、広場中央にあるキャンプファイヤー場で火がたかれる。日が暮れたころにはすっかり冷え込むタガイタイの山奥。パーカーなど上着は必需品だ。火にあたりながらパチパチとまきが燃える音に耳を澄ませていると、とても癒される。売店でマシュマロが販売されており、焼きマシュマロを楽しむ人もいた。
翌朝、キャビンの外から聞こえる「グッドモーニング ポ」の声で目覚める。ドアを開けてみると、スタッフの人が朝食を運んできてくれていた。前日の夜のうちに朝食のメニューを選んでおけば、朝にはキャビンまで届けてくれるサービスだ。キャビンのベランダで熱いコーヒーを飲みながら、自然の空気をたっぷり吸い込み、朝食をいただく。なんてさわやかな朝なのだろう。
温水プールは満喫失敗?
そして朝食後は、ついにお待ちかねのプールへ行くことに。心を弾ませながら、よし、入るぞ、と足を一歩入れてみる……えっ、冷た‼ 心待ちにしていた温水プールは、「温水とは何?」と疑問を持たせるほど冷たかった。最終日の3日目もほぼ同時刻に再挑戦してみたのだが、変わらず冷たい。確かにプールの一部から温かい水は出てきていたのだが、これで本当に温まるのだろうか? という程度。
後からスタッフに聞いたところ、毎晩プールの水を換えるそうで、取り換えたばかりの水は温まっておらず、まだ冷たいのだとか。そういえば、日が暮れた肌寒い時間帯に多くの人たちがプールを楽しんでいたことを思い出す。そういうことは事前に言ってくれるとありがたいんだけど……。とはいえ、「寒い寒い」と言いながら結局2回とも存分にプールを楽しんだので、文句は言うまい。
実は筆者がタガイタイに行ったのは、今回が初めて。観光はそっちのけで過ごした2泊3日だったが、心地いい空気の中、心も体もリフレッシュすることができた。マニラに帰っても頑張れそうな気がする。(新)
(初出2023年まにら新聞11月10日号)