みなさん、こんにちは。Kumusta kayo? 「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足になる生き物、なーんだ?」世界で一番古いと言われるこのなぞなぞ、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。赤ちゃんのときはハイハイをするので4本足、その後2足歩行をするようになり、年を取ると杖をつくので3本足になるから、答えは「人間」ですね。
フィリピンにもなぞなぞがあり、フィリピン語ではbugtong(ブグトン)と言います。一般的には「謎」や「謎解き」はpalaisipan(パライシパン)といいますが、その中でもbugtongは単なる謎解きではなく詩やラップのように韻を踏んでいるのが特徴です。そして“Bugtong-bugtong”と言ってから始めます。それでは皆さんもなぞなぞの答えを考えながら読んでみてください。
❶ “Isa ang pasukan, tatlo ang labasan”
(入口はひとつ、出口は三つ)
ここではpasukan「入口」とlabasan「出口」の-an が韻を踏んでいます。入口がひとつで出口が3つあるものと言えばなんでしょう? 答えはkamiseta 「Tシャツ」です。
❷ “Hindi hari, hindi pari, ang suot ay sari-sari”(王様じゃない、神父様でもない、でも衣装はいろいろ)
ここではhari「王様」とpari「神父様」、sari-sari「いろいろな」の3つが韻を踏んでいます。王様でも神父様でもないのに、いろんな衣装を着ているものはなんでしょう? 答えはsampayan「洗濯用の物干し」です。
❸ “Ako ay may kaibigan, kasama kahit saan” (私には友達がいる、どこでも一緒)
Kaibigan 「友達」とkahit saan 「どこでも」のsaanが韻を踏んでいますね。どこへ行っても一緒に付いてくるものは何でしょう? 答えはanino 「影」です。
❹“Mataas kung naka-upo, mababa kung nakatayo”
(座っていると背が高く、立っていると背が低い)
これはnaka-upo「座っている」とnakatayo「立っている」の最後の母音だけが韻を踏んでいますが、意味が対比になっており、mataas「(背が)高い」とmababa「低い」も同じように対比になっています。これは日本にも同じようななぞなぞがあるのでわかった人もいるのでは? 答えはaso「犬」でした。
❺ “Bisitang hindi inaasahan, nauuna sa hapag-kainan”
(予期せぬ訪問客、食卓には先着)
Inaasahan「予想されること」とhapag-kainan「食卓」の最後の-anが韻を踏んでいます。食事の準備ができるとどこからともなく飛んでくるアレですね。答えはlangaw「ハエ」でした。
今回はフィリピンのなぞなぞbugtongを見てきました。これらのなぞなぞは祖父母から孫へ、親から子へと語り継がれてきた伝統的なものも多く、日常生活の中でもフィリピン人同士の会話の中にふと出てきたりするものです。伝統的なもの以外にも、新しいものなど、たくさんのなぞなぞがあるので、皆さんも周りのフィリピン人に聞いてみると、いろいろ教えてもらえるかもしれません。すぐにフィリピン語の意味や答えはわからないかもしれませんが、ぜひ実際にフィリピン語のbugtongのリズム感を味わってみてくださいね。
文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人男性と1992年に結婚後マニラ在住。
Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia