マニラで旧正月の雰囲気を体験するのに最適なのは、やはり中華街ビノンド。街のいたるところに赤いランタンが飾られ、店頭には金や赤のラッキーチャームが並びます。赤い服を着た大勢の人が見守るのは、ライオン&ドラゴンダンス。パワー全開の旧正月にはもちろん、週末にも訪れてみたいビノンドの見どころを紹介します。今回は、前回のオンピン通りに続いて、エスコルタ通りです。
【世界最古の中華街ビノンド】
フィリピンと中国との間では、9世紀の宋王朝時代から陶磁器の貿易が行われていた。スペイン統治時代に中国からの移民が増え、パシッグ川沿いのパリアンと呼ばれる地区に隔離されていた。1594年、スペイン政府がカトリック信者の中国人居住区としてビノンドを建設。名前は古いタガログ語で丘陵を意味するBinundokに由来する。ビノンドは世界最古のチャイナタウンとして知られる。
【中華街ビノンドへの行き方】
タクシーやグラブ:マカティから約40分~50分。
LRT1号線:カリエド(Carriedo)駅下車、徒歩3分。
パシッグリバー・フェリー(Pasig River Ferry) :エスコルタ(Escolta)・フェリーターミナルで下船。マカティ市グアダルーペ(Guadalupe)のフェリー乗り場からエスコルタまで約50分。月曜日~土曜日に運航。ビザ、パスポート、社員証などIDの提示が必要。乗船料は無料(2025年1月上旬)。フェリーの運航状況はフェイスブックで確認を。
※ビノンドは歩道が狭く、段差があるなど整備されていないところもあるので、歩きやすい靴で出かけたい。
往年の金融街からリバーサイドへ
エスコルタ・ルート
エスコルタ(Estolta)通りという名前は、スペイン語で「エスコート」を意味します。英国がフィリピンを統治した1760年代、英国の要人が護衛付きでこの通りを進み、イントラムロスへと向かったことに由来します。エスコルタは1800年代から1990年代にかけてフィリピンのビジネスと金融の中心地として栄え、「アジアのウォール街」とも呼ばれました。歴史ある建物が今も残るエスコルタ通りを抜ければ、パシッグ川。ジョーンズ・ブリッジを渡ると、昨年オープンした川沿いの遊歩道エスプラネードがあります。
❶Perez Samanillo (First United) &Regina Buildings
ペレス・サマニロビル
レジーナ・ビル
LRTカリエド駅から歩いてエスコルタ通りの入口に来ると、道の両脇に歴史ある建物が見えてくる。右は1928年に建てられたペレス・サマニロビル(ファーストユナイテッド・ビル)。アールデコ様式のビルは、マニラ市政府から「最も美しいオフィスビル」に選ばれたことも。左のレジーナビルは、1915年に建てられ、古代ギリシャや古代ローマの芸術にインスパイアされたネオクラシシズム(新古典主義)とアメリカンルネサンス様式を融合させたスタイルのビルとなっている。
❷HUB: Make Lab
ハブ:メイクラブ
First United Building, 413 Escolta St.
10am-6pm
フィリピンコーヒーを提供するカフェ、理髪店、ブティック、雑貨店など、個性的な店舗がある。エスコルタに来たら、ぜひ立ち寄りたいスポット。
❸Fred’s Revolución
フレッズ・レボルシオン
First United Building, 413 Escolta St.
Monday – Saturday 5 pm-12 mn
ハブ・メイクラブの入口にあるパブ。首都圏ケソン市のクバオ・エクスポにある同パブの支店。店内にはカール・マルクス、レーニン、チェ・ゲバラ、毛沢東、ホー・チ・ミンなど革命家の肖像が飾られている。
❹Pasig River Ferry Escolta Terminal
パシッグリバーフェリー・エスコルタ・ターミナル
マカティからビノンドへ向かうとき、あるいはビノンドからマカティへ戻るとき、パシッグ川フェリーを利用するのも一興。川に浮かぶ水草の上に立つ鳥や跳ねる魚を眺めながらのんびり移動。途中、マラカニアン宮殿の裏側を通るときは、写真撮影が禁止となるので注意。
❺Jones Bridge
ジョーンズ・ブリッジ
ビノンドとイントラムロスを結ぶジョーンズ・ブリッジ。1919年に建設されたが戦争で破壊され、1946年に再建。2019年に改装された。橋の欄干(らんかん)に施された上半身がライオン、下半身が魚の尾のシーライオンは、スペインの国力が、海を越えた遠方の地に及ぶことを意味する。
❻1919 Grand Cafe
1919グランドカフェ
117 Juan Luna St,
7am-10pm
かつてHSBC(香港上海銀行)マニラ本店だった築100年の建物にあるカフェ。店内も重厚な歴史を感じさせる。コーヒー、軽食をはじめ、食事メニューもそろう。
❼Pasig River Esplanade
パシッグリバー・エスプラネード
エスコルタ・フェリーターミナルからジョーンズ・ブリッジを渡り、マニラ中央郵便局に向かって進むと見えてくるのが、ちょうど約1年前に完成した遊歩道パシッグリバー・エスプラネード。堤防にはフィリピンの民族舞踊パンダンゴ・サ・イラウを踊る女性と男性の像が建ち、夕方6時頃になると噴水とともにライトアップされる。美しいサンセットも見ることができる。エスプラネードは釣り人にも人気。ルンピアの生の皮をエサに、約5キロのクリームドリー(パンガシウス)を釣りあげた人も(写真)。ナマズの大物も釣れるそう。