今年3月からバギオ市の環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)でインターンを始め、3カ月が過ぎようとしています。
5月上旬現在、バギオでは新型コロナウイルスに関する制限はマスク着用のみで、街は多くの観光客でにぎわい、パンデミック前の活気を取り戻しつつあるようです。パンデミック中にリニューアルや新規にオープンした観光地もあり、今回はその中から日本に所縁のある観光地を3カ所紹介します。
①ミラドールヒル・エコパーク
ミラドール(Mirador)とはスペイン語で展望台という意味。エコパーク内には「嵐山バンブーグローブ」「ロックガーデン」、新型コロナウイルスで亡くなった人を追悼する「パンデミック慰霊碑」、そして「ミラドールヒル平和記念碑」があります。
この平和記念碑は日本の鳥居を模していて、終戦75周年目に当たる2020年12月14日に竣工しました。鳥居につり下がる鐘には、平和を願う象徴として戦中にミラドールの丘に投下された米軍の不発弾の一部が使われています。鳥居越しにバギオの街並みを見渡せ、夕暮れ時には、写真のように美しく幻想的な風景を見ることができます。
Mirador Heritage and Eco Park
所在地:15 St. Theresa Ext. 入場料:100ペソ 開園:6am〜6pm(年中無休)
②聖フランシス・ザビエル修道院 バンブー教育デモファーム
通称バンブー・サンクチュアリと呼ばれる知る人ぞ知る観光スポット。険しい坂を登った先にあり、京都の嵐山を思わせるような雰囲気があり、SNSで「小さな京都」として紹介されているほど。入口からアーチを通って進むと竹林の道が見えてきます。竹の緑色と柵の赤色が絶妙にマッチしていて、インスタ映え間違いなしです。
バンブー・サンクチュアリはフィリピンの竹財団とカトリック・バギオ教区による環境事業の拠点でもあります。竹林を有効活用し、土壌侵食や地滑りの起こりやすい地域の地盤を安定させることをめざしています。
St. Francis Xavier Seminary Bamboo Educational Demo Farm (Bamboo Sanctuary)
所在地:Pacdal Liteng 入場料:無料 開園:8am〜5pm(年中無休)
③バギオ・ボタニカルガーデン
リニューアルしたばかりのバギオ・ボタニカルガーデン(植物園)へは、バギオ市の中心部セッションロードからタクシーや、観光地マインズビュー(Mines View) 行きのジープで約10分。園内には日本庭園、 韓国庭園、 中国庭園、カナダのオンタリオ州バーン(Vaughan)市とバギオ市との姉妹都市を記念として作られたガーデン、フィリピンとタイの友好国の証として作られた象のモニュメント、コーディリエラ地方の文化を伝えるコーディリエラ・ビレッジがあります。まるで世界を旅しているかのような雰囲気の中、いろいろな国の文化を感じることができるスポットです。
日本庭園には両側に無数の地蔵が並ぶ階段があり、登ると鳥居が見えてきます。鳥居をくぐった先にあるのは、戦時中に日本軍が掘った防空壕。野戦病院として使われていたというこの防空壕の真っ暗な中を奥深く入って行くことができます。いくつもの小さな部屋や階段があり、このようにほぼ当時のまま残されている防空壕は珍しいのではないでしょうか。
鳥居の隣には慰霊の碑があります。バギオ市では多くの日本兵が亡くなったことを思い起こさずにはいられません。バギオのトンネルには山下奉文陸軍大将の財宝が隠されているという伝説があり、今も山下財宝探しに血眼になっているフィリピン人がいるのだそうです。
今回紹介したバギオの観光地には戦時中の足跡が多く残されていて、日本とフィリピンとの歴史について改めて学ぶことができました。これまで日本の視点から歴史を学びましたが、フィリピンの視点からも歴史を知ることは、両国が友好関係を築いて行くうえでとても大切だと思いました。
Baguio Botanical Garden
所在地:37 Leonard Wood Rd. 入場料:大人 10ペソ 子ども 5ペソ 開園 :6am〜6pm
[筆者]
古瀬 貴一 環境NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワークインターン。文部科学省主催「トビタテ !留学JAPAN」日本代表プログラム14期生。
環境 NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(Cordillera Green Network / CGN):
山岳地方の先住民が育てた森林農法によるコーヒーのフェアトレードを行う社会的企業。
Yagam Coffee オンラインショップ https://www.yagamcoffeeshop.com/
コーディリエラ・グリーン・ネットワーク https://cordigreen.jimdofree.com/