海外在住の日本人、特に高齢になってくると恋しい食品の一つに豆腐があります。個人的には寿司や刺身よりも切実です。ありがたいことに、セブでもいろいろな豆腐が手に入るようになりました。スーパーには日本式の絹ごしに木綿、中国豆腐、韓国豆腐いろいろあります。今回紹介するのは、地元の中国人が作っている豆腐です。我が家では2週間に1度、6丁を前日に注文して温かい出来立てを買います。大豆の香りがする固めの豆腐を持ち帰ってすぐに飲用水の中に入れ、毎日水を変えれば1週間は楽しめます。
味噌汁や鍋、麻婆豆腐、ステーキ、揚げ豆腐、ちょっと手間は掛かりますが、がんもどきなど。豆腐に塩を振ってキッチンペーパーで包んで冷蔵庫で入れておくと水分が抜けます。数日間、紙を交換し、十分に水分を抜いた豆腐にそのまま醤油やオイルをたらしていただくと、白チーズにも似たまったりと濃厚な味わいに。さらにこれを冷凍した後に解凍すると自家製の高野豆腐のできあがり。独特の臭気がなく食感も滑らか。これまで高野豆腐といえば野菜との炊き合わせくらいしか思い浮かびませんでしたが、揚げたりフライパンで焼いたりバラエティに富んだメニューを楽しんでいます。
また、ローカルデザートの黒蜜をかけて食べるタホに水に入れた後、キッチンペーパーを敷いたザルに移してしばらく置くと、きめ細かいザル豆腐になります。
中国人が生み、日本人の感性が育てた豆腐は自己主張が控え目な食材なので、和洋中華、好みの料理法や味付けに順応してくれます。年末年始の肌寒い晩に湯豆腐で一杯。たまりませんね。