5月3日と4日の2日間、マカティ市アヤラ・トライアングルガーデンで「クラフトビール・フェスト2024」が開かれ、フィリピンのクラフトビールブランドが集合した。ビール党にとってはパラダイスでシャングリラのような空間をクラフトビールを愛してやまない記者がレポート。
11のブランドが個性を競う
マニラでクラフトビールのイベントを訪れるのは2回目。前は2017年12月にマンダルーヨン市のグリーンフィールド・ディストリクトでの「マニラ・クラフトビール・フェスティバル」に行った。コロナ禍でクラフトビール界隈の情報から疎くなり、イベントが終わってから知って、残念に思ったこともあった。
筆者にとっておよそ約7年ぶりのクラフトビールイベントとなる今回はマカティ、しかもアヤラ・トライアングルガーデンが会場ということで、勤務中にちょっと抜け出して行けそうなところというのもうれしかった(抜け出してません)。
フィリピン各地から30社以上が参加していたグリーンフィールドに比べて、今回は規模は小さかったものの、どのブリュワリーも個性的なビールを提供していて興味深かった。今回の参加ブランドは、
エンカント・ブリュワリー(Engkanto Brewery/マカティ)
パパ・ボロ(Papa Bolo/カビテ州タガイタイ)
ブーンドクス・ブリュワリー(Boondocks Brewers/マリキナ市)
ツリーライン・エールズ(Treeline Ales/ケソン市)
ブルル・ブリュワリー(Bulul Brewery/パンパンガ州サンフェルナンド)
モンキー・イーグル(Monkey Eagle/カビテ州タガイタイ)
ミッチェルズ・バックヤード・ブリュワリー(Michell’s Backyard Brewery/ケソン市)
エリアス・ウィキッド・エールズ&スピリッツ(Elias Wicked Ales & Spirits/ケソン市)
クバオ・ブリュワリー(Cubao Brewery/ケソン市)
エル・デポジト・ブリュワリー(El Deposito Brewery/サンフアン市)
ニパ・ブリュー(Nipa Brew/マカティ市)
ビールは金色、茶色に限らず
マニラ首都圏と近郊の都市のクラフトビールが集まった今回のフェスティバルは入場無料で、どのブースもテイスティング歓迎。気に入ったら買って飲んで次のブースへ。普段からよく飲むクラフトビールブランドでも、これまで飲んだことのないビールが提供されている。作り手の好奇心、こだわりで次々に新しいビールが生まれるのが、クラフトビールの魅力である。
クバオ・ブリュワリーのピンク・ムーン・セゾンは、その名の通り、見た目もピンク。通常ビールといえば、茶色、金色、琥珀(こはく)色、黒色といったところが一般的だが、クラフトビールはさまざまな原料を使うことで、いろいろな色のビールを生み出す。見た目でも楽しませてくれるのだ。
スタッフによるとピンクムーン・セゾンは、ラズベリーを使っているそう。ベルギー南部の製法を受け継ぐセゾンタイプは、柑橘系の香りでフルーティーな味わいのものが多いが、見事ラズベリーで甘さとホップの苦味を両立させてのどごしを楽しめるように仕上げている。
さらにユニークな色と味のビールを探して見つけたのが、エンカントのウベ・ラガー。フィリピンでおなじみの食材、ウベはついにビールにまで使われていた。濃い紫の色、漂ってくる香りも確かにウベ。飲んでみると、ほのかな甘さは確かにウベ。飲みやすいことこの上ない。苦いからビールは嫌いという人に、ぜひ飲んでいただきたいウベ・ラガーである。
以前、フィリピンのクラフトビールコミュニティについて、競合するというよりもクラフトビールを愛する仲間という意識でつながり、お互いに情報交換をすると聞いた。そのような環境だからこそ、新しい発想でユニークで個性的なビールが生まれるのであろう。
クラフトビールを愛する1人として 今後もフィリピンのクラフトビールがどのように進化するか楽しみである。そして、クラフトビール・フェスティバルをできれば毎月でも開催してほしいと思う。(T)
(初出まにら新聞2024年5月11日)