ファッションブランドの「ラコステ」が、同じくワニのマークのブランド「クロコダイル」にフィリピンの法廷で負けたと地元メディアによる報道があった。

 

マカティのショッピングモール、グリーンベルトにあるラコステの専門店。大きなワニが描かれている。

 

 

 ラコステは1996年、クロコダイルのマークが消費者が混乱するほどラコステのものに似すぎていて、ブランドにダメージを与えているとフィリピン知的財産庁に提訴。しかし同庁は、両ブランドは区別できるとの判断を下した。

 

 

 その後、ラコステは控訴裁判所、さらに最高裁まで20年以上かけて争ったが「区別可能」との判断を覆すことはできなかった。このたび最高裁はラコステのワニは右を向いているのに対し、クロコダイルは左を向いていることと、2つのブランドは日本、中国、韓国、マレーシア市場で共存していることを指摘した。

 

 

 これら2つのワニのマークを見ると、向きのほかにもラコステのワニは口を大きく開けているのに対し、クロコダイルは少し開いている程度という違いもある。ラコステのポロシャツを買うつもりが、間違ってクロコダイルのポロシャツを買ってしまったという消費者はいるんだろうか……。

ワニの向きが決め手の一つになった(イラストはイメージ)

 

 フランス発祥のブランドであるラコステはウィンブルドン選手権も制したテニスの名選手、ルネ・ラコステが1933年に創業し、世界中で親しまれている。一方、クロコダイルは1952年に香港で生まれ、日本でも展開されておなじみのブランドとなった。フィリピンでは、シンガポールの企業によって2002年から販売されているという。

 

 今回の判決により、フィリピンでもラコステとクロコダイルが無事共存し続けることができるであろう。ラコステ、クロコダイル、そしてサンダルのクロックスといった具合に、ワニはアパレルブランドのマークに引っ張りだこのようだ。そういえば、昔、日本では立ったワニのロゴ入りの服もあったような。そのうちフィリピンに、アリゲーターというブランドも出現するかもしれない。だが、ワニの向きは右も左もすでに存在する。どう配置するか、難しいところである。