みなさん、こんにちは。Kumusta kayo?どの国にも身体の状態や体に関する言いまわしや迷信などがあるもので、例えば日本では「顔が広い」と言えば「つきあいの範囲が広く、いろいろな人を知っている人」のことですね。以前このコラムでも、フィリピンでは「顔が厚い」(Makapal ang mukha)と言うと「恥知らず」や「厚かましい」という意味になると書きましたが、他にも体に関するさまざまな言い回しがあります

 

「つむじが2つある」
(May dalawang puyo)

 フィリピンでは、頭につむじが2つある子はやんちゃな子だ、と言われます。ですから、フィリピンの人に「自分はつむじがふたつある」と言うと、「きっといたずらっ子だったんでしょう」と言われることがあります。しかし、つむじの数は遺伝によって決まるらしく、10人に1人程度は2つ以上あるそうです。ちなみに日本では「つむじが2つある人は天才」という俗説もあるそうです。筆者の夫はフィリピン人ですが、つむじが2つあるので「日本では、つむじが2つあると天才だという俗説があるらしいよ」と言ったところ、「それは本当かもしれない!」なんて言っていました。

 

「手のひらがかゆい」
(Makati ang palad)

 フィリピンでは手のひらがかゆくなるのは、近いうちにお金が手に入る、金運アップのサインと言われます。ちょっと手がかゆいと感じたとき、「さっきの洗剤にかぶれたのかも」とか「化粧品が合わなかったのかも」と考えると気分が沈みがちですが、「近いうちにお金が舞い込んでくるのかも!」と思うと、気持ちが上向きになりますね。ただし、手のひらがかゆくなるのは単なる皮膚炎ではなく病気が原因のこともあるそうなので、かゆみが引かない時は、やはり病院で診てもらうのがよさそうです。

 

「手のひらが厚い」
(Makapal ang palad)

 こちらも手のひらに関する言い回しです。 「手のひら」(palad) はよく運命と関連して使われる言葉で、形容詞を作る接辞ma-を付けてmapaladと言えば、それだけで「幸運な」という意味になりますし、前回お伝えした「抽象名詞を作る接辞 ka- -an」がpaladに付いてkapalaran (dは後ろに母音が付いてrに変わる)となると「運命」という意味になります。また「手のひらが厚い」(Makapal ang palad)のは、手を使ってよく働く人だということを示しているそうで、ひいては「幸運が待っている」という意味になるそうです。

 

 

「舌が長い」
(Mahaba ang dila)

 フィリピン語で「おしゃべりな」という形容詞は “madaldal”で、長いおしゃべりのことはdaldalanと言います。ダラダラとおしゃべりする感じがよく表れた言葉ですね。 「舌が長い」(Mahaba ang dila)という慣用句もあり、これには「必要以上によくしゃべる人だ」という批判が含まれています。日本語にも「舌が長い」という慣用句があり、同じ意味なのは面白いですね。さらに、あっちとこっちで矛盾した話をする人、つまり嘘つきのことは日本語で「二枚舌」と言いますが、フィリピン語でも “dalawa ang dila”(舌が2つある)と言って、これも日本語と意味は全く同じ。楽しくおしゃべりをするのは良いとしても、あちらこちらで矛盾したことを言って「二枚舌」と呼ばれるようにはなりたくないものですね。

 

 

 

 

文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大(現大阪大外国語学部)フィリピン語科卒。最近の楽しみは出張をより快適にするアイテムを集めること。

Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia