フィリピン初の食文化創造都市
イロイロ市発の全国区ヌードル
チキンベースのスープに黄色い縮れ麺。あっさり系ラーメンのようでいて、具に豚のレバーや内臓系の肉に、カリカリに揚げた豚皮が載ってB級グルメな雰囲気を漂わせるフィリピンの麺料理。それが、バチョイ(バッチョイ、BachoyまたはBatsoy)だ。
バチョイの起源は諸説あるが、1920~30年代、ビサヤ地方イロイロ市ラパス(La Paz)が誕生の地と言われている。名前は最初に作ったとされるフィリピン人が、当初この料理をバツ(bats)と呼び、後からチョイ(Choy)を付け足したという。そのほか、ラパスの中国人コミュニティから生まれ、名前は福建語で肉のスープを意味するという説もある。
フィリピンのバチョイには、このラパス・バチョイと、バチョイ・タガログというのがある。ルソン地方発のバチョイ・タガログの方は、麺は細くそうめんのようなミースア(misua)を使い、豚の血をスープに入れる。
このバチョイ2大ブランドがマニラでもしのぎを削っているのかと思えば、バチョイと言えばラパズ・バチョイが一般的なようで、マカティでバチョイ・タガログを見つけることはできなかった。 インスタント麺でもバチョイ味はお馴染みだが、こちらもどうやらラパス・バチョイが主流。
レバーや臓物が入っているという段階でバチョイが敬遠されることもありえる中、タガログ版はさらに豚の血が入っているというエキゾチック感が、裏目に出てしまっているのだろうか。そんな中、去る10月31日、ユネスコがイロイロ市をフィリピン初の食文化創造都市として認定した。ラパス・バチョイ人気がますます高まるのは不可避か?(T)