アンチエイジングに効果あり!?
ビコール発マニラで変貌した野菜料理

 

 

 フィリピンにいると、気付かないうちに野菜抜きの食生活に陥ってしまうことがある。そんな私にとってありがたいのが今回紹介するライン、タロイモの葉をココナツミルクで煮込んだ料理である。カレンデリアに並ぶメニューとしておなじみで、最近はコンビニでもライスとセットで売っている。名前はシンプルだが、会話の中でこのLaingなのかアプリのLINEなのか迷ってしまうので気を付けるようにしている(そんなことはない)。

 

 

 

 

 

 

 ラインはフィリピンの唐辛子シリン・ラブヨが入ってピリ辛アクセントが効いている。豚肉が入っているものもあるが、それは一般にマニラバージョンであり、本場ビコールでは野菜だけのベジタリアンな料理。マニラでは刻んだタロイモの葉を使うが、ビコールでは刻まずに大きい葉を使う。そもそもビコールではラインではなく、ピナガット(pinangat)という名前であり、マニラでラインという名前に変わって普及した。タガログ語でピンアンガットは魚やエビを酸味あるスープで煮た料理のことを意味するので紛らわしいからだそう。

 

 


 タガログ語でラインは、「乾燥した、枯れた」という意味を持つ。ラインはしっとりとしていて、まして葉がしなびているとも思えない。いったい誰がこんな名前にしたんだろう? 枯れるどころか、タロイモの葉は抗酸化作用があるビタミンCとポリフェノールを豊富に含み、老化予防に役立つと言われるのに。

 

 


 栄養価にすぐれる一方で、タロイモの葉には毒素もあり、食べると口の中がかゆくなる。そのため、調理前に乾燥させ、十分な水でしっかり調理する必要がある。名前が「乾燥した」という意味のラインになったのは、乾燥させてから食べることを注意喚起するためかもしれない。

 

 

 


 ちなみにタロイモは日本の里芋と同じイモであり、里芋の花言葉は「繁栄」「愛のきらめき」「無垢の喜び」。花言葉のご利益はきっとタロイモの葉にも通じるであろう。ラインを食べて野菜不足を補い、同時に愛のきらめきや無垢の喜びを自分に吸収したいものである。(T)

 

 

 

(初出まにら新聞2024年2月29日号)