英雄の肖像から動植物へ
新しいデザインの紙幣発行
昨年12月19日にポリマー製の新札が発表され、今月から発行されている。2022年4月発行の1000ペソの新札に続いて、500ペソ、100ペソ、50ペソの表面には従来の元大統領や英雄の肖像に代わってフィリピン固有の生物や植物が描かれている。(Photo: Bangko Sentral ng Pilipinas)
〚1000ペソ〛
旧紙幣
〈表〉日本軍に処刑された3人の英雄:ホセ・アバド・サントス(フィリピン独立準備政府最高裁判所長官)、 ビセンテ・リム(陸軍司令官)、ホセファ・ラーンズ・エスコーダ (社会活動家、フィリピンのガールスカウト創設者)
〈裏〉トゥバタハ岩礁国立公園、真珠貝、ティナラク織物
新紙幣(2022年4月発行)
〈表〉フィリピン・イーグル
〈裏〉旧紙幣と同じ。
〚500ペソ〛
旧紙幣
〈表〉コラソン・アキノ元大統領、ベニグノ・アキノ・ジュニア元上院議員
〈裏〉プエルト・プリンセサ地下河川国立公園、コオオハナインコモドキ(Blue – naped parrot)
新紙幣
〈表〉ビサヤン・スポテッド・ディア(Visayan Spotted Deer )
〈裏〉旧紙幣と同じ。
〚100ペソ〛
旧紙幣
〈表〉マニュエル・ロハス元大統領、旧フィリピン中央銀行ビル
〈裏〉マヨン火山、ジンベエザメ、ビコール地方の織物
新紙幣
〈表〉パラワン・ピーコック・キジ、洋ラン(Ceratocentron fesselii )
〈裏〉旧紙幣と同じ。
〚50ペソ〛
旧紙幣
〈表〉セルヒオ・オスメニャ元大統領、第1回国会、マッカーサーのレイテ上陸
〈裏〉タール湖、ジャイアント・トレバリー(ロウニンアジ)、バタンガスの刺繍
新紙幣
〈表〉ビサヤン・レパードキャット、ハイビスカス(Vidal’s lanutan)
〈裏〉旧紙幣と同じ。
フィリピンで最も高価な魚
幻のプレジデント・フィッシュ
フィリピンでよく食べられている魚のバグス(ミルクフィッシュ)は、1キロ約215ペソ、ティラピアなら約130ペソで買える。ノルウェーサーモンは1キロ1200ペソほど。そんな中、フィリピンには1キロ7千ペソもする魚がいる。それがルドン(Ludong)。淡水に住むボラの一種で、美味、希少、高価ゆえに限られた人しか食べることができないことから別名「大統領の魚(President’s Fish)」と呼ばれる。ルソン地方北部のアブラ州、ベンゲット州、南イロコス州を流れるアブラ川流域固有の魚だが、絶滅の恐れがあるという。
漁業水産資源局によると、2014年から24年のルドンの漁獲高はわずか4.27キログラム。減少の原因として、不法投棄による河川の汚染、砂や小石のくみ上げによる生息地の破壊などが考えられる。ルドンは産卵期の10月~11月にかけて禁漁となり、違反した場合は6カ月から8年の禁固刑、8万ペソの罰金、漁業権剥奪、漁具没収の罰則が科される。
漁業水産資源局カガヤンバレー事務所は産卵用の施設を設立し、現在ルドンを5匹飼育している。しかし、まだ産卵していない。(1月5日・インクワイアラー)
「病気が治った」
ブラックナザレの奇跡
カトリック教会の最大の行事の一つである黒いキリスト像「ブラックナザレ(ジーザス・ナザレノ)」の市内巡行が今月9日に首都圏マニラ市で行われ、約100万人が参加した。この像は奇跡を起こすと信じられており、実際に経験した人が語る。
エリザベスさん(56歳)は子どものころ急性潰瘍 (かいよう)になったとき、親にブラックナザレ像があるキアポ教会に連れて行かれた。それ以来、家族で信仰心を持ち続けている。「手術することなく潰瘍が治りました。ブラックナザレを信じていたからこそ起きた奇跡です」。
ベニタさん(74歳)は、30年以上ブラックナザレを信仰している。「この年になってもしっかり歩けます。健康でいられるのはナザレ像のおかげ。2023年に体調を崩しましたが、必要な治療は少なく済みました」。 (1月10日・テンポ)