フィリピンでは旧正月になると、その年の幸運と繁栄を願って風水に基づく「プロスペリティ・ボウル」と呼ばれる置き物がつくられます。首都圏マニラ市の中華街ビノンドの風水師ティタ・マキシさんにプロスペリティ・ボウルについて聞きました。

 

縁起が良い物を集めて飾るプロスペリティ・ボウル

 プロスペリティ・ボウルをつくるにあたって、まずは繁栄の象徴である生米をボウルに入れます。その上に財産の神様の像、金色のパイナップル、へび年に縁起がいいとされる金色のコイン、「如意」と呼ばれる杖、地金(インゴット)、赤いコードで結ばれた3つの風水コインといった縁起物を載せます。続いて、2025年の守護神が描かれた札と健康を願うひょうたんを配置します。

 最後に、すべての額のフィリピンぺソ紙幣を丸めたものとコインを置きます。ボウルにお金を多く置くほど、金運に恵まれます。プロスペリティ・ボウルの種類によっては、卵を置くものがありますが、おすすめしません。なぜなら、卵はゼロを意味するからです。

 プロスペリティ・ボウルは旧正月前日にダイニングテーブル中央やリビングルームに置き、天への捧げ物として13種類の丸い形の果物で囲みます。そして3日経ったら、米以外のすべてのものを取り除き、ボウルを冷蔵庫の上に置きます。このあとプロスペリティ・ボウルに使った米を炊いて食べたり、あるいは幸運を共有するために他人にあげたりすることもできます。

 風水に基づく伝統や習慣は、あくまで行動のためのガイド、アドバイスです。風水を信じ、取り組むことこそが最も重要であり、私たちの生き方において有意義なことなのです。

 

 

TITA MAXIE Charme General Merchandise 757 Ongpin Street, Binondo, Manila

 

家庭でできるプロスペリティ・ボウル

  フィリピンの一般家庭では、新暦の正月前に身近なものでプロスペリティ・ボウルがつくられる。普通のボウルに米、塩、水、砂糖、みかん、ベイリーフ、コインの形のチョコレート、赤いリボンで結んだ紙幣などが載る。